新大関となった栃ノ心。7月の名古屋場所では、「昇進場所優勝」を果たせるかどうかが注目されている。過去の例を見ると、戦後では72人誕生した新大関のうち昇進場所で優勝を果たした力士は5人しかいない。その5人に共通するのは“ガチンコ相撲”を貫いていたこと。“ガチンコの中のガチンコ”栃ノ心は、史上6人目の昇進場所優勝が期待されている。
しかし、今場所は「栃ノ心包囲網」とも呼ぶべき、難敵が待ち受けている。上位陣に実力派のガチンコ力士が集中しているのだ。
「西の関脇・御嶽海は、これまで栃ノ心と何度も好勝負を演じてきた相手。出羽海一門同士だから出稽古などでお互い手の内は知り尽くしている。先場所の取組では栃ノ心が一気の寄りを見せて完勝したが、御嶽海は右足を負傷していた。今場所は万全の体調だから同じようにはいかない。東の関脇には幕内最重量225kgの逸ノ城もいる。栃ノ心とは右の相四つということもあって毎場所、際どい勝負となっている」(担当記者)
また“鬼門”になり得るのが西の前頭筆頭・琴奨菊だ。がぶり寄りを武器とする元大関に対し、栃ノ心は過去16連敗するなど相性が悪い(8勝24敗)。「先場所は11日目に対戦して、栃ノ心が豪快な上手投げを決めている。この一番で大関昇進が決定的となったので、琴奨菊は雪辱に燃えている」(同前)というのである。
とりわけ激しい一番となることが予想されているのは、カド番で7月場所を迎えた先輩大関の高安だ。この1年では栃ノ心が1勝3敗と分が悪い。