タイ北部チェンライの洞窟で遭難した少年ら13人全員が10日夜、救出された。このニュースで連日、各局のワイドショーや情報番組に識者として登場していたのが、洞窟探検家の吉田勝次氏だ。また、西日本を襲った豪雨関連のニュースでも、災害に関する多くの識者が出演した。こうした「専門家」はどうやってテレビに起用されるのか。その仕組みとは――。
◇「テレビ出演」経歴の有無がオファーにつながる
吉田氏は、1000を超える国内外ののさまざまな洞窟に入った経験を持ち、今回のタイの洞窟付近でも実際に調査を行った。今回の出演はそれが大きな決め手となったことは間違いないが、そもそも彼は冒険番組『クレイジージャーニー』(TBS系)にゲストで登場したことがある。つまり一度でもテレビに出た経験の有無がものを言う。
『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)の弁護士、『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系)の鑑定士など、レギュラー番組の専門家の場合は、まだテレビに出ていない、手垢のついていない人が選ばれる傾向にある。だが事件、事故といった突発的なものに関しては、これまでに同様の話題で他番組に出ていたかが起用する側の安心材料となり、出演につながるのだ。
◇顔出しまでの4つのハードル
テレビに出るまでにはいくつかのハードルがある。まずテレビマンが専門家に発注するのが、事件や事故などについての「コメント」だ。より詳しい見立てが必要な際、テレビに出た経験がなくてもいいので、コメントだけ欲しくなるときがある。そこで、ディレクターやアシスタントディレクターが直接その人に会いに行ったり、電話で取材。それをまとめて番組内でコメントとして紹介する。
そこで理路整然としていて聞きやすく、ビビッドな言葉で評論しているときは、そのまま「電話出演」でコメントを言ってもらうことがある。事前収録の場合が多いが、生放送での対応をお願いするケースもある。その時にスムーズに話してもらえた場合、今度はテレビに映像で出ていただこう、という判断となる。
また事前取材の際、ハンディのカメラでしゃべっている姿を撮影させてもらい、それをあとで、スタッフ間で見ながら出演可否を決めることもある。いわば、評論家然としているかどうかをジャッジする「雰囲気審査」だ。
意外とその人の居住地も重要だ。もちろん遠方に住んでいたとしても局までの往復交通費は支給されるが、距離的に近いのであれば、「一度、話を」と気軽に面談できる。
◇人材を見つけるツールはSNS
では、どんな方法で人材を探し出すのだろうか。以前は連絡先が書かれた「業界人紳士録」のような本をめくりながらアポを取っていたこともあったが、現在は、自身のPRのためにブログやTwitterなどSNSを開設している人が圧倒的に多い。それを見れば、どんなことを発信しているのか、さらにはどんな人物なのかもある程度、把握できる。つまりSNSの発達で、適材を見つけやすくなったのである。
◇新たな事件が起きるたびに出てくるさまざまな専門家