巷に溢れる「やってはいけない」「やったほうがいい」という健康情報には、実践する側が知りたい「肝心な情報」が抜けている。“良いか、悪いか”は詳しく記しているのに、「誰に合うのか」は軽く見られているのだ。
特に困るのが「シニア向き」「中高年向き」という“括り”である。人生100年時代において、60歳と70歳、さらには80歳、90歳の健康対策が同じでいいはずがない。怖ろしいことに、実践する年齢が適していなければ、「害」になる健康対策もある。それは、手術についても言える。
今回、医療の専門家と医学研究をもとに、5歳刻みで「やってはいけない」「やっていい」手術の一覧表を作成した。
●前立腺がん
50歳以上で手術をした場合としない場合の5年生存率にほぼ差はない。「70歳以上のステージ4(末期)は、『手術しない』ほうが生存率が高い。前立腺摘出で排尿障害などの後遺症が残ることもあり、70歳以上の人は慎重な選択が必要」(『不要なクスリ 無用な手術』の著者で医師・ジャーナリストの富家孝氏)
●喉頭がん
50歳以上の患者のステージ2までは、手術をした場合としない場合の5年生存率に大きな違いはない。「とくに早期のステージ1では、手術、抗がん剤治療、手術なしのいずれも生存率にほぼ違いがないので、手術以外の選択を検討したほうがいい」(富家氏)
●膵臓がん
「50歳以上の全年代で、手術をしたほうが生存率は高くなる。ただし、70歳以上でステージ2よりも進行していると、手術しても5年生存率は約20%以下。QOL低下や合併症リスクを考えると、70歳以上の人は手術を選ばない選択もある」(富家氏)