歌舞伎町に限らず、繁華街でホストクラブの看板を見かけることは多い。そこにはたいてい、店の看板ホストたちのキメ顔の写真が並んでいる。最近のホストは、かつてと違ってかわいらしい見た目が増えているようだ。人気ホストの日常に迫る5~15分程度のミニドキュメンタリーを放送するホストクラブ・メンズキャバクラ情報サイト『HOST-TV.COM』から、現代ホスト界の帝王ROLAND(ローランド)は、なぜ一滴も酒を飲まずにナンバーワンに上り詰めたのかをイラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が考えた。
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1991年から2005年まで日本テレビで放送されていた情報ドキュメンタリー番組『スーパーテレビ情報最前線』が好きだった。取り上げるテーマは、パチンコ攻略法、浜崎あゆみの真実、神秘体験などなど。月曜21時というバリバリのゴールデンタイムなのにも関わらず、アウトロー系雑誌のようなラインナップ。そのなかで、一番夢中になって見ていたのはホスト特集だ。そこで見たホストたちは、毎度、こんな感じだった。
スーツを着た色男ホスト、金色の過剰な装飾が輝く店内、色めき立つ女とドンペリコール、泥酔して廊下でバタン、朝焼け、そして終わり。新宿は歌舞伎町、家(中野区)からそう遠くない場所にある異界の風景は、中学生の僕に興味深いものがあった。あれから十数年、一時のブームも過ぎ去りホストの活躍をテレビで見る機会もめっきり少なくなった。
夜の人間交差点、電信柱の街灯に群がる虫のように光を求める男女のすれ違い、なめくじの交尾のように艶かしく、刹那的なホストクラブの光景。スポットライトをあてれば面白いに決まっている。「けれども、テレビで特集しない!」と嘆いていた。
しかし、これは僕が情弱だっただけ。現代ホストの群像劇を映す媒体は、いつの間にかテレビからYouTubeへ移っていた。『HOST-TV.COM』というチャンネルでは、ホスト動画を毎日更新している。
『HOST-TV.COM』で、十数年ぶりにホストという生き物に触れる。
動画を眺めつつ、自分が抱くホスト像が古いものだと知る。スーツを着て、髪を盛って、キザな表情で女性を口説く。2000年代初頭にナンバーワンとしてテレビにも出演していた城咲仁のようなホストは絶滅危惧種。なかには、オールドスタイルをキープする人もいるが、それは今更モデルチェンジができないベテラン勢だ。若手ホストの風貌は、韓流アイドル的なキュートなルックス。ヤンチャ感は一切なく、男の僕から見ても「カワイイ」と思う顔が並ぶ。服装もスーツではなくてもOKのようで、軽やかにGジャンを羽織る。ホストとは女性にモテる仕事。ま、今の時代のモテを追求したゆえの韓流スタイルなんだろう。
偏差値100超えホスト、兼業ホスト、邪道ホストと様々な動画を漁ってみた。そのなかで特に出色だったのが、”現代ホスト界の帝王”と呼ばれるROLANDなるホストに完全密着したシリーズ。それはもう! 帝王の二つ名に恥じない圧倒的な内容で。ホストの概念をぶっ壊してくる動画だった。