国際情報

中国の食の安全は衛生面になお課題 弁当や鍋での“大惨事”も

キッチンの中の改革も急務か(写真:アフロ)

 食の安全への意識改革が進む中国だが、“落差”もまた大きいのが現実である。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 中国で“外売”といえば、いまやケータリングの代名詞だ。北京や上海の街角では、配達の三輪車を見かけることが多い。

 食品安全問題で苦しんできた中国だが、都会の一部では、ケータリングを申し込む前に、その店の厨房の様子をカメラで確認できるというサービスを提供している店も増えてきている。

 日本のメディアのなかには、いまだに中国の食品といえば「危険」というステレオタイプな報道も見かけるが、高級スーパーでは、タグにスマホをかざすだけで、検査データから流通の経路、はたまた生産地の現在の様子を動画で確認できるサービスまであるのだから、日本が上から目線でものを言う時代ではなくなりつつある。

 だが、そんな時代になっても解決されない問題はある。それが衛生の問題である。

 安全な食を手に入れようとすれば、高級スーパーに行けば日本以上のものが手に入る中国だが、常に高級品ばかりを手にすることはできない。それはケータリングも外食も同じである。

 というわけで心配な衛生面からの中国の食の問題である。こちらは、やはりいまだになかなか厄介な問題を抱えている、といえそうだ。

 まず、6月に『新京報』が報じたニュースでタイトルは、〈大学生が注文したケータリングの弁当のネズミ 尻尾を囓っても昆布だと思い気付かず〉である。

 場所は湖南省。大学生は直ちに食品安全の110番である「12345」に通報。間もなく同店には食品薬品監督管理局の調査が入った。大学生には、ケータリングのプラットフォームから賠償金約1000元(約1万7000円)が支払われる予定だというが、決して気分が晴れることはないだろう。

 そしてもう一つは、やはり6月に『南国都市報』が報じたニュースで、タイトルは〈火鍋を食べ、1時間でゴキブリが8匹も出てきた クレームを受けた店主は、「オレにも分からんと回答〉である。

 これは鍋を食べ続けて、一匹、また一匹とゴキブリが出てきたという話ではなく、一匹を見つけた時点で箸を止め、なべ底をさらったら更に7匹出てきたという話だ。

 驚いたのは海口市のそのレストランは賠償も、ただにもせず、しかたなく被害者は「12345」に訴えたという。ちなみに鍋を食べた被害者は女性だそうだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
スポーツアナ時代の激闘の日々を振り返る(左から中井美穂アナ、関谷亜矢子アナ、安藤幸代アナ)
《中井美穂アナ×関谷亜矢子アナ×安藤幸代アナ》女性スポーツアナが振り返る“男性社会”での日々「素人っぽさがウケる時代」「カメラマンが私の頭を三脚代わりに…」
週刊ポスト
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン