連れ去りやわいせつ行為を企てる不審者は、どんな子供を狙い、どんなタイミングで行動に移すのか。実際の不審者経験を持つ人物の視点から、物色、犯行の決意、実行に移すまでの過程を探る。不審者は一体何を考え、犯行に及ぶのか。12才の頃から約30年間犯罪を繰り返したのち逮捕され、服役した元受刑者Kさんに、わいせつ行為の手口を聞いた。
「まず、犯行場所の下見をします。私の場合、昼間に最低2回は見て回り、逃げやすい道、人の目がない場所を確認します。場所が決まったらターゲットを探します。だいたい20m先から、好みの子、狙いやすい子をチェックします」(元受刑者Kさん)
不審者は、男の子を狙うことも多いので、子供が男だからと安心はできない。また、露出の激しい服装の子が獲物にされやすいわけではなく、不審者の“好み”で選ばれるので、誰もが獲物になる可能性がある。
「私は、きょろきょろしたり、ぼんやりしていてスキがある子を狙います。約20m先から観察しながら近づき、約9mまで近づいて、いけそうだったら、“今、やるぞ”という気になる。さらに6mまで近づいた時点で、まわりに人がいないなど条件が揃ったら行動を起こします。4mまで近づいたら、もう自分の縄張り内。早足で近づき、声をかけます」(元受刑者Kさん)
こういう時、子供はいかにして身を守るべきか。子供の安全を研究するステップ総合研究所の清永奈穂さんはこう話す。
「不審者が犯行を決意するのは子供の6m手前。自分を見ながら近づく不審者がいたら、この距離の時にランドセルを捨ててでも、反対方向に全力で走って逃げること」
20m距離があけば、助かる可能性が高くなるという。
「元犯罪者270人の統計を出したところ、子供を追いかけて約20m走ってもつかまらなかったら“追いかける姿を誰かに見られて通報されるかも”と気になり諦めるそう。ですから子供には、嫌な予感がしたら、ためらわずにすぐ走れるように練習させておいてください」(清永さん)
◆狩場になる街で見るのは汚れ
そもそも、犯行場所はどう目星をつけているのか。
「公園や道路にゴミが散乱している、自転車が放置されているなど、汚れていたり、管理が行き届いていない地域は狙い目。住人が地域の環境に無関心ということは、子供の安全にも無関心だからです」(元受刑者Kさん)
清永さんによると、街の汚れは、地域の不審者目撃情報の頻度と比例するという。
「市町村から流れてくる不審者情報の頻度が1か月に1回程度であれば、自分の学区が汚れてきていると自覚し、ゴミ集積所や町内掲示板の管理を気にしましょう。週に2回情報が来るようになれば、今すぐ事件があってもおかしくない緊急事態」(清永さん)
パトロールをする、同じ通学路の親同士で注意を呼びかけるといった地域ぐるみでの対策を行ってほしい。
※女性セブン2018年8月2日号