多くの人々がSNSを利用し、全世界に向けて気軽に情報を発信する現代社会。もはや当たり前になったネットでの発信は、現代人の心のすき間を満たす一方、「誰かに自分のことを見てほしい」という承認欲求を肥大化させ、リアルの生活と折り合いをつけられなくなってしまう危険をもはらんでいる。
カリスマインスタグラマーとして人気だったGENKING(32才)もその1人だった。GENKINGはインスタで「いいね!」をもらうためにブランド品を購入して写真をアップし、すぐ転売して次のブランド品を買うことを繰り返した結果、借金が1000万円に達した。
のちにテレビ番組で当時を振り返ったGENKINGは、悔悟の念を述べた。
「SNSは身の丈に合った写真で楽しむべきです…」
芸能人に限らない。「1億総インスタ映え社会」では、一般人がこぞってネットに自分の写真をアップして、「いいね!」を追い求める。
そこで登場したサービスが「リア充代行業者」だ。東京都新宿区に本社のある『ファミリーロマンス』では、依頼者の希望するシチュエーションに応じて“SNS写真用スタッフ”を派遣する。同社社長の石井裕一さんが言う。
「昨年春頃から『SNSにリア充感のある写真をアップしたい』との依頼が増え、友人に囲まれた誕生日パーティーやバーベキューなどの写真を撮るためのスタッフを派遣する新サービスを始めました。客層は20~40代が中心ですが、最近はSNSを始めたての熟年層も増えています。ラスベガスまで誕生パーティーの写真を撮りに行き、飛行機代などを含めて300万円使ったかたもいます」
同社には「リア充アドバイザー」が常駐し、「いいね!」を稼ぐアドバイスを送る。
「われわれの助言で『いいね!』が倍増すると、その後に称賛の声が減ることに耐えられず、承認欲求を満たし続けるためにサービスを頻繁に利用されるかたもいます。過去には『どうしても盛大な誕生パーティーが撮りたいからローンを組みました』というかたもいました。こうしたかたがたは『いいね!』に固執するあまり、リアルの世界に戻れなくなる可能性もあります」(石井社長)
ネットニュース編集者の中川淳一郎さんも一般人がネットにのめりこむ弊害を指摘する。
「基本的にツイッターもインスタもフォロワー数の上位は芸能人や著名人が独占していて、一般人でネットによって有名になれるケースはほんの一握りです。もういい加減、『ネットで人生が好転する』という考えは改めるべきです」
※女性セブン2018年8月2日号