猛暑が続く。そこかしこで嘆きが聞こえる。こんな時こそ“違い”を生み出すチャンスだ。「大人力」を日々研究するコラムニストの石原壮一郎氏が指摘する。
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連日のようにニュースでは「命に関わる危険な暑さ」という、これまであんまり聞いたことがないフレーズが叫ばれています。18日には岐阜県多治見市で、国内で5年ぶりの40度超えとなる40.7度を記録。19日は全国206地点で猛暑日となり、この夏の最高記録を更新しました。まったくもって、この夏の猛暑っぷりは半端ではありません。
今日も大人たちは、寄るとさわると「暑いですねー」「どうにかしてほしいねー」と暑さを嘆き合っていることでしょう。ここまで暑さが続くと、毎度同じように「暑い、暑い」と言うのもなんだか芸がない気がします。ひと味違う「猛暑の嘆き方」に果敢に挑んで、大人の知性と貫禄を漂わせたいところ。それがおっさんなりの「猛暑との戦い方」です。いくつかのパターンを考えてみましょう。
●嘆き方その1「社会に対する怒りや批判を乗っける」
わりとお手軽で、簡単に自分が偉くなったように感じられるので、世代を超えてそこそこ広まっています。「まだまだエアコンが設置されていない小中学校が多いこと」「2年後にはこの暑さの中でオリンピックが行なわれること」「これだけ言ってもエアコンを使わずに熱中症になる高齢者が多いこと」といった社会批判を語りながら暑さを嘆けば、意識の高さや知性らしきものを示すことができます。
ただし、自分は気の利いたことを言っているようでも、すでにどこかで何百回も聞いた話なので、相手はこっちが思っているほど感心してはくれないのが難。しかも、力を込めて語れば語るほど暑苦しさが漂います。周囲の若者に「このおっさん、どうにかしろよ」と思われる可能性も無きにしも非ず。熱くなりすぎないように気をつけましょう。
●嘆き方その2「ボジョレー・ヌーボーの評価に学ぶ」
「50年に一度の出来栄え」(2009年)、「近年の当たり年である2009年と肩を並べるクオリティ」(2014年)、「我がワイン人生最良のヌーボー」(2015年)など、毎年のボジョレー・ヌーボーの評価は「そう来たか」と感心させられます。これまでの表現を応用して、暑さを嘆くフレーズを作ってみました。
「観測史上もっとも暑い夏と言われた2010年を上回る暑さ」
「気温と湿度のバランスが絶妙に過酷」
「我がサラリーマン人生最高の暑さ」
「今世紀で最高に暑さが申し分ない夏」
「豊満で朗らか、絹のようにしなやか。しかもフレッシュで輝かしい夏」
最初に「毎年、ボジョレーの評価のコピーには感心させられるけど」といった前置きをつけた上で、おもむろにこうしたフレーズを繰り出せば、エレガントな大人っぷりを感じさせることができるでしょう。対面でもメールでも、どんどんお使いください。最後のは暑さが表現できているかどうか微妙ですが、ボジョレー感は強く押し出せます。