中国の名門、北京大学では7月からキャンパスに入る門に顔認証システム機器を設置して、学生や教員、職員らのデータを入力し、個人が特定できるシステムの運用を開始した。設置の理由について、大学側は「暴漢やテロリストから学生らを守るため」などと説明しているが、北京大学は1989年の天安門事件など歴史的に学生運動の先駆けとなっており、個人を特定して、民主化運動を阻止する狙いがあるとの指摘が出ている。
北京大学では南東門で正式に顔認証システムを導入したほか、南西門でも試用期間を設けて、9月の新学期から正式に運用を開始する。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の記者が南西門で取材したところ、多くの学生や職員らに顔を撮影され、従来のIDカードのデータと一緒に照合する作業を行われた。
従来は職員が学生のIDカードを個別にチェックしていたが、顔が認証システム機器に入力されると、一瞬で個々人を識別できる。このシステムは写真データ10万枚に対応しており、ゲートを開ける際には、即座に数万枚のデータの中から認証中の顔と特徴が同じものを正確に探し出すことができるという。
北京大学では監視カメラが寄宿舎や図書館、体育館、教室などに設置されているが、今後は順次、これらの監視カメラに顔認証機能を加え、個々の学生や教員、職員のキャンパス内での行動がすべてチェックすることが可能になる。