医学が目覚ましい進歩を見せる一方で、いま「漢方」の力が見直されている。2000年以上の伝統を持ち、西洋医学の薬とは違った作用機序による効果が期待できる漢方薬を、様々な分野の名医たちが、改めて高く評価しているのだ。
では、どの漢方を、どんな状況・タイミングで飲めばいいのか。循環器内科医の渡辺尚彦氏が「自分でも飲んでいる漢方」を明かす──。
* * *
二日酔いで頭痛や吐き気を覚えた時は呉茱萸湯(ゴシュユトウ)を飲んでいます。同じ症状に効くイブプロフェンなどの西洋医学の薬だと胃が荒れてしまうこともありますが、漢方薬ではそういった心配がないのがメリットです。
一般的に漢方は即効性があまりないとされていますが、この呉茱萸湯については、症状が出た時に飲んで早めに効果を実感できるという、頓服的な服用ができるのが特徴です。
また、咳が出る時に飲んでいるのが麦門冬湯(バクモンドウトウ)です。咳の症状を治めると同時に、痰の切れも良くなる。喘息などにもいいとされています。漢方というと苦くて飲みにくいイメージがありますが、麦門冬湯には水飴の成分が含まれているので、薬が苦手な人や子供でも飲みやすいと思います。