医学が目覚ましい進歩を見せる一方で、いま「漢方」の力が見直されている。2000年以上の伝統を持ち、西洋医学の薬とは違った作用機序による効果が期待できる漢方薬を、様々な分野の名医たちが、改めて高く評価しているのだ。
では、どの漢方を、どんな状況・タイミングで飲めばいいのか。眼科医の岡野敬氏が「自分でも飲んでいる漢方」を明かす──。
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なかなか寝付けない夜に使っているのが酸棗仁湯(サンソウニントウ)です。比較的即効性がある漢方薬で、1日1回、寝る前に1~2包飲むだけで自然な眠りに入れます。
入眠障害(寝付けない状態)や途中覚醒(睡眠途中で起きる)、早朝覚醒(朝早く起きてしまう)など不眠症のすべての症状に対応しているのも特徴です。深い眠りを得られるので、飲んだ翌朝の目覚めは非常に良い。睡眠導入剤と違い副作用もほとんどありません。
また、重要な会議や学会発表の前などに気持ちを落ち着かせるためによく飲んでいるのが半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)です。