今や、100歳まで生きることが当たり前の時代に、定年後マネーをどう考えるべきか。「貯蓄ばかりじゃなく、投資に挑戦しないと」──そう力強く語るのは、30年以上も読まれ続ける稀代のロングセラー『思考の整理学』(ちくま文庫)著者の外山滋比古氏(94)だ。外山氏は65年前から株式投資を始め、現在も約90銘柄を運用しているという。新時代の「定年後のお金戦略」を外山氏とともに考える。
グライダーになるな、飛行機になろう──『思考の整理学』の哲学は、外山氏の投資への向き合い方にも反映されている。
「年齢を重ねると、身体の健康も、頭の思考力も徐々に低下します。だからこそ“失敗力”を身につけないといけません。新しい経験をして、ときには失敗もして、そこから学べばいい。株式投資に熱中するのが強欲だと批判されるのは、良くない風潮だと思いますよ。
多くの日本人はタンス預金を好み、40兆円を超える現金がタンスの中に眠っているといわれますが、そのお金は死んでいるのと同じ。子供や孫に現金を残そうとするなら、彼らが生きていくこれからの社会をもっとお金が循環する社会にするために、その現金を投資に回した方が効果的でしょう。
預貯金に頼ろうにも、銀行の利子はいま、ほとんどゼロです。日本の企業もだいぶ配当を上げましたから、株を持っておくほうが利回りがいいのです」(カギ括弧内は以下、外山氏)