今年の競走馬のセレクトセールは2日間の落札総額が179億3200万円と6年連続で過去最高を記録。しかしこれまでとは違う「新しい競馬界の流れ」も実感することができた。
2017年は当歳市場でディープインパクト産駒に最高5億8000万の値がついた。1歳・当歳とも高額落札馬の上位4位までを独占し、上位10頭のうち7頭がディープインパクト産駒だった。しかし今年の最高額は2億9000万円にとどまり、1歳馬では上位10頭のうちディープ産駒は5頭で2位はキングカメハメハ産駒、3、4位はハーツクライ産駒だった。当歳馬にいたっては、上位10頭中わずかに3頭だった。
ディープの牡馬(とくにノーザンファーム産)がセリにかけられる順番になると、報道陣をはじめ会場内の熱気が一気に高まるのが例年の光景だった。あっという間に1億円を超え、その後は1000万円、2000万円単位で上がっていくのも珍しくなく、ハンマーが落ちるとともに、大きな拍手がわき起こったものだ。
ところが今年はたとえばタワーオブロンドンの半弟にあたる「スノーパインの2018」のセリが1億円の声とともにスタートしたが、500万円アップしただけの(といってもいきなり500万円アップなのだが)、1億500万円という落札額にとどまり、場内には拍子抜けしたような空気が漂った。
昨年勝利回数で2位のキングカメハメハに100以上の差をつけ、種付け料が4000万円にもなった大種牡馬の勢いも、そろそろ下降線をたどるのかとも思われたが、セレクトセール関係者は「セリ自体が成熟してきて、馬本位になってきたということでしょう」。