異例の猛暑が続く日本列島。この猛暑がさらなる異常気象をもたらす可能性もあるという。気象予報士の大野治夫さんは「超巨大台風」を招くと警鐘を鳴らす。
「海水温が高い海域で上昇気流が発生し、積乱雲が群発して渦を巻いたのが台風です。南の海で発生した台風が、日本に近づいてくるうちに、海水温が徐々に低くなるので、勢力を弱める──それが、通常のメカニズムです。
しかし、今夏は日本周辺海域の海水温が平年より3℃ほど高く、27℃近くにまでなっている。海水温27℃以上だと台風が勢力を衰えさせることなく日本列島まで到達するとされるので注意が必要です。
今のところ太平洋高気圧が勢力を保っており、台風が近づける状態ではありませんが、その勢力が弱くなったときが最大限に危ない。高気圧の中に入れば、台風を動かす風が弱いので、台風の移動速度が非常に遅くなる。つまり、豪雨を降らしながら、列島の上を非常に遅いスピードで縦断すれば、甚大な被害が出ることも想定されます」
気象予報会社「ウェザーマップ」会長で、気象予報士の森田正光さんも同意見だ。
「8月以降、海水温が高いフィリピン東沖でエネルギーをたっぷり受け、台風が次々と発生して日本を襲う可能性があります。あまり話題になりませんでしたが、すでに台風8号が沖縄・宮古島を襲いました。この台風が風速50mというものすごい風を伴っていた。こんな規模の台風が都市部にやってきたら、また人命にかかわる事態です。7月に日本列島が溜め込んだ熱を冷やそうと、8月、9月、10月に、予想がつかないほど強い台風がやってくる可能性が高いと考えます」
◆竜巻・つむじ風にも注意を
6月29日午後、滋賀県米原市の住宅地を「竜巻」が襲った。被害を受けた住宅は132棟で、8人が負傷。日本で発生する竜巻としては、かなり大きな被害を出した。
竜巻は積乱雲の下にできる上昇気流によって発生する、激しい突風を伴った渦巻きだ。
「直径は数十mから数百mになることもあり、風速100mを超える場合もあります。発生メカニズムはいまだはっきりしない部分が多いのですが、台風が接近しているときに発生しやすいことが知られています」(前出・森田さん)
猛暑の2013年9月にも日本各地で10個もの竜巻が続発したが、今年も同様の危険が指摘されている。
「竜巻よりワンサイズ小さい『つむじ風』は、晴れた日に地面が温められて発生することが多い。今回の猛暑でも、警戒が必要です。直径数mから数十m程度です。運動会のテントなどを巻き上げることで知られ、いきなり発生することが多い」(前出・森田さん)
これらの危機的な気候変動(シビア・ウェザー)に前触れはあるのか。危機管理アドバイザーの国崎信江さんが説明する。