6月18日、最大震度6弱を記録した大阪北部地震で、小学4年生の女児を圧死させたのは、建築基準法に違反していたブロック塀だった。通学途中の痛ましい“事件”。私たちは日々、そうした凶器に囲まれて生活していることを自覚しなければいけないのかもしれない。
だが、自宅の塀は改修できても、他人の家の塀を勝手に直すわけにはいかない。危ない塀を見つけたら、どうすればいいのだろうか。国土交通省の住宅局建築指導課に話を聞いた。
「建物は特定行政庁が管理し、相談窓口を各都道府県や市町村で作っているのでそちらで…」
要するに、一見所有者のわからない空き家や、直接指摘するとトラブルになりかねない近所の危険なブロック塀は、まずは市町村、それでらちが明かない場合は都道府県に相談してほしいというのだが…。
今回、東京都に対策を尋ねたが、危険なブロック塀見直しの啓蒙活動に留まっているようだった。もちろん啓蒙は必要だが、いつ大地震が来るかもしれないことを思えばあまりにも悠長ではないか。違法なブロック塀は野放しとなり、危険と隣り合わせのままだ。
地震被害を受けた大阪府では独自のチラシを作り、各市町村にブロック塀の点検を呼びかけるなどの取り組みをしているものの、そこに切迫感があるのかどうか。
防災アドバイザーの吉田亮一さんは今後のブロック塀対策をこう提言する。
「行政はホテルなどに貼ってある、消防法の適マークを、塀に応用するのはどうでしょう。耐震検査をして、安全確認が取れたブロック塀に対して、適マークを見えるところに貼るのです。
塀は個々人の問題ですから、隣もやってるしうちもやらないと、という促進力になります。車検のように、有効期間を決め、何年に検査を受けたかという日付も入れるといいと思います。国・行政は点検費用を助成することが必要です」
現状では、自分たちで身を守るしか方法はない。私たちが今できる最大の防災・減災は、“危機感”だ。
「想定以上の備えがないと、自然災害には勝てません。うちの古い塀は倒れるんじゃないか、という危機感です。
そのほか、台座にしっかりと固定されていない自動販売機は法律違反です。ビルの看板や電柱のトランスは激しい揺れで落下する可能性があります。ガラス張りの建物も避けたい。その危機感が唯一、自分の身を守る術だと考えておくしかない」(吉田さん)
今、その覚悟が問われている。
※女性セブン2018年8月9日号