夏の風物詩“金魚”。祭りの屋台などで簡単に手に入ることから、気軽に飼えるペットとして人気だ。しかし、その生態は意外と知られていない。金魚の名前の由来や歴史、正しい飼い方などを紹介する。
累計来場者数835万人を誇る水中アート展『アートアクアリウム』が今年も東京・日本橋で始まった(~9/24)。金魚など約8000匹の観賞魚が、幻想的に照らされた水槽の中を優雅に泳ぐ姿を見ようと多くの人で賑わっている。
金魚は日本の夏の風物詩だが、原産国は実は中国だ。今から約2000年前に赤いフナが発見され、これを原種とした品種改良の末に誕生したという。読み方は異なるが、中国語でも「金魚」と書く。
金魚といえば赤や白、黒が多く、金色ではないが、なぜこの名前がついたのだろうか。
「昔は今のように赤くなく、もっと黄みを帯びた色をしていて、金のように高価な魚だったので“金魚”と呼ばれるようになったんです」
と、教えてくれたのは、金魚の養殖を行う「やまと錦魚園」代表の嶋田輝也さんだ(「」内以下同)。
日本に伝わったのは16世紀頃。当時は貴族や武士などの愛玩用で、一般家庭で飼われるようになったのは、明治時代になってからだという。
金魚の生産地として有名な奈良県大和郡山市。街中に、金魚をモチーフにしたモニュメントや水槽がある。写真はイベントなどで展示される、寝転がって金魚が眺められる「お昼寝水槽」。
金魚を店で買う前に、「まずは“水づくり”をしてください」と嶋田さんは言う。
「欧米では“水槽全体が生き物”と考えられているくらい、金魚を上手に育てるには水質管理が重要です。理想は2か月、最低でも1週間前から、金魚がすみやすい“水づくり”を始めましょう」
金魚の飼育には、カルキ抜きした水(水道水をバケツに入れ、1日、日光にあてたもの)を使用するが、この水には、金魚の尿やフン、食べカスなどから発生するアンモニアを分解してくれるバクテリアが存在しない。アンモニア濃度が高くなると、金魚は死んでしまうので、あらかじめバクテリアを水中に入れておく必要がある。
「バクテリアは空中を漂っているので、自然に繁殖します。しかし、金魚がすめる状態になるまでバクテリアの数が増えるには、約2か月かかります。ですから、金魚を入れる前に、バクテリアが増えるように水を循環させたり、市販のバクテリアを入れるなどして、水槽内の環境を整えておく必要があります」
用意する水槽は大きい方がいい。約4cmの金魚1匹に対し、バケツ1杯分(8~10リットル)の水が必要となる。
「金魚は水中の酸素を吸って生きています。充分な呼吸ができるよう、水槽はスカスカだと思うくらいのゆとりがある方がいい。1匹だけならと、金魚鉢で飼う人もいますが、これでは小さすぎて、飼育には向いていません」
その他に必要なのは、酸素を送るエアポンプ、水をろ過するフィルター、エサだ。
「エサは1日1~2回、5分で食べきれる量が目安です」
※女性セブン2018年8月9日号