医師や看護師に対する暴力や患者同士の喧嘩、さらには窃盗、セクハラなど、病院内ではさまざまなトラブルが発生している。現在、こうした事件に対処すべく“院内交番”を設置している病院は全国に約300ある。
ここでは実際に病院専属ポリスが出動した「暴力・恐喝事件」の内容を報告する。
タクシー代わりに救急車を使い、大病院にやってきては待合室で「待ち時間が長い」と暴れたり大声で騒いだりする自称元暴力団員の男がいた。
病院側は男を“腫れ物”扱いし、警備員や事務職員が何人も、男が診察科を回る後をぞろぞろついて歩くのが常だった。
ある日、この男がまたしても待合室で暴れ出したため、職員が止めに入った。その刹那──。
職員の顔にめり込むように男の拳が入った。呻きながらその場に崩れ落ちる職員。そこに院内ポリスが現われた。素早い動作で男を押さえ込み、他の職員に警察に通報するよう指示。男は現行犯逮捕された。
しかし、これで終わりではなかった。勾留期間が終わって数日後、男がナイフを持って病院に侵入してきたのだ。
当直の職員にナイフを突きつけ、「診断書を書け」などと意味不明な要求を口にしながら凄む。当直職員が逃げながら院内ポリスに“通報”すると、そこからすぐに警察に連絡がつながる。男は再び御用となった。
※週刊ポスト2018年8月10日号