昨夏の甲子園で、埼玉県に初めて優勝旗を持ち帰り、その知名度を全国区にした花咲徳栄高校(加須市)。今年も北埼玉大会を制し、史上6校目の夏連覇を目指している。そんな最中、教職員の「ブラック労働」が常態化しているという“内部告発”が上がった。
甲子園への引率教員への手当はゼロの上に賛助金として1万円が徴収される、弁当代や移動費も自腹で負担するのだという。教員の長時間労働は常態化しており、昨年10月の行事予定を見ると17連勤の教員もいた。午後5時で帰ってしまう司書の代わりに8時まで出退室や貸し出しを行う“図書館業務など様々な役割が順番に回ってくるという。大学受験に備えた補講として「0時限」「7、8時限」、さらには一部クラスでは週1回18時40分までの「9時限目」もある。
問題は、長時間労働にとどまらない。
「そうした時間外労働や休日出勤の対価が支払われていないのです」──同校の現役教師・A氏はそう説明しながら昨年1年分の給与明細を示した。確かにその中に超過勤務(残業)手当の項目はない。
「同僚と給与明細を見せ合ったこともありますが、同じでした。そもそもうちの学校ではタイムカードは設置されておらず、出勤簿に押印するだけで出勤や退勤の時間は記録されていません」(A氏)
そうした状況に不審を抱き、自分で手帳に出勤時刻と退勤時刻の記録をつける教員もいるという。
A氏によると、そうした記録から昨年の残業時間をカウントすると、「過労死ライン」(80時間)を超えている職員もいたという。