人間であれば体調不良を言葉で伝えることができるが、愛犬にとっては難しいことだ。ペットの不調は、飼い主こそが気づいてあげなくてはならない。「よくあること」などと思っていた症状が、実は重要な病気のサインかもしれない──。そこで、症状別でみる犬の不調を紹介する。
■おしっこが赤い、出にくい
排尿の姿勢をとってしゃがんでもなかなかおしっこが出なかったら、膀胱炎や尿結石症、腎炎などの疑いがある。「膀胱炎になると、おしっこが濃い黄色になって濁ります。一方、尿結石症になると、おしっこがキラキラし、赤くなったら腎炎の疑いが。原因の多くは細菌による感染症なので、早めに獣医の診察を受けてください」(須崎動物病院院長・須崎恭彦さん、以下同)
・考えられる主な病気:膀胱炎、尿結石症、腎炎
■口臭が強い
歯周病や口内炎のほか、消化器官系のトラブルも口臭が強くなる原因。「下痢やおう吐を何度も繰り返している子は、口臭が強くなる傾向があります。“よくあること“と放置しているとどんどん衰弱してしまうことも。原因はストレス、過食などによる胃炎のほかにも、細菌感染、寄生虫などが考えられます」
・考えられる主な病気:歯周病、口内炎、胃炎
■舌を出して激しく呼吸する
犬の体は地面に近い。地面に近づくほど温度は高く、猛暑日は50℃近くまで達することもある。「舌を出して激しく呼吸をしている子は熱中症の疑いがあります。日陰を歩かせ、水分補給はこまめに行うこと。熱中症になったら流水をかけて体を冷やしてあげてください。苦しげに呼吸をしている子を診察したら心臓病だったこともあったので、獣医の診察をおすすめします」
・考えられる主な病気:熱中症、心臓病
■下痢・血便が出る
わんこは下痢をよくするものだが、慢性的な下痢は、消化器官系の病気が潜んでいる。「原因のほとんどは、細菌やウイルスの感染によるものです。デリケートな性格の子は、ストレスが原因となり腸の状態が安定しない場合も。単純に食べすぎの場合は、腸を休めるため1日程度絶食させることで症状が改善したこともありました。血便が出た時は、がんが進行している場合があります。獣医の診察を受けてください」
・考えられる主な病気:胃炎、腸炎、がん
■吐く
食べたものを吐いてしまう原因は、食物アレルギーや胃炎など。「そのほかにも、胃がんや食道の腫瘍などの病気が潜んでおり、飼い主が"よくあること"と放置していたら、命を落としてしまったことも多々あります。食べる量や元気かどうか、体を触った時にしこりがないかなど、こまめにチェックをしてください」
・考えられる主な病気:食事が合わない、食物アレルギー、胃炎、がん
■耳の中が臭い
ベトベトした黒い耳あかがたまり、耳に引っかき傷がある場合は要注意。「外傷が原因となり、耳に細菌やカビが繁殖する外耳炎です。耳の中まで炎症が進行してしまう場合も。殺菌効果が高い緑茶で耳をこまめに拭き取ることで予防できます。また、体内環境が整わず、排泄不良となり、耳から老廃物が出てきてしまう子もいるので、同時に排泄の有無や状態にも注意を。水を飲ませるだけで改善することもあります」
・考えられる主な病気:外耳炎、内耳炎
※女性セブン2018年8月16日号