「薬に副作用があること」は誰もが知っている。しかし、いざ副作用が自分の身に生じたとき、ただちにそれが飲んでいる薬の副作用によるものだと気付く人は少ない。その理由として、医薬情報研究所取締役で薬剤師の堀美智子氏は、「そもそも副作用の初期症状が周知されているとは言い難い」ことを挙げる。だからこそ、薬の副作用について知っておくことは重要になる。
「年のせいだろう」と済ませてしまいがちな症状にも、副作用の危険が潜む。階段や坂道で息切れが激しくなったり、動悸がするといった症状を経験したことがある人は多いだろう。
「こうした症状や、痰が絡まない咳が続く場合には、『間質性肺炎』の可能性もあります。これは、吸った空気から酸素を取り入れ、二酸化炭素と交換する『肺胞』という組織の壁にあたる『間質』が炎症のため厚くなり、酸素と二酸化炭素をうまく交換できなくなる病気です。一般的な肺炎とはまったく別モノで、抗生物質を使っても効果はありません。受診しないで放っておくと、最悪の場合、意識障害を起こして亡くなるケースもある」
副作用として間質性肺炎を引き起こす可能性のある薬には、高コレステロールの治療に使われる「クレストール」、高血圧の薬である「ミカルディス(配合剤含む)」などが挙げられる。ただし、前出・堀氏は「過剰に恐れてはいけない」とも注意喚起する。
「最も危険なのは、副作用を恐れるあまり、自己判断で服用をやめてしまうこと。『副作用かも』と思ったら、必ず医師や薬剤師に相談してほしい」
※週刊ポスト2018年8月10日号