芸能

稲川淳二 「幽霊の話なのに怪談を語ると生きている実感」

「怪談ナイト」は26年目を迎えた(撮影/江森康之)

 夏の風物詩としてすっかり定着した「稲川淳二の怪談ナイト」は、今回で26回目となる。全国ツアー初日、7月14日の宇都宮市文化会館公演では、交通渋滞で予定より40分遅れて楽屋入りし、急いで打ち合わせをした稲川。26年の付き合いになるプロデューサーとは、あうんの呼吸で話が進んだ。

 取材のために楽屋をお邪魔すると、稲川自身は、本番直前にもかかわらず、「いろいろなものを収集するのが好きで、今日履いているような下駄が家にいっぱいあるんですよ。けん玉は250個以上で、双眼鏡やブルーボトルもありますよ」と気さくに話す。

 今年は北海道から沖縄まで、54公演の全国ツアーを敢行。11月の千秋楽まで、満載の演出機材を積んだ黄色い大型トラックが全国を回る(フルセットが飾れない小ホール公演を除く)。

 毎夏、ツアーが終わるとすぐ、翌年の準備に入る。語る怪談は、どこにでもありそうな身近な怖い話。全国にみずから足を運び、地元の人に聞いた話を元に再取材して、茨城県にある工房で怪談を創作する。

「実際に取材に行って集めた“話の破片”を繋ぎ合わせ、私の推理を加えてひとつの怪談を完成させます」

 今年は神秘的な洋館セットが独自の世界観を生み出す。稲川のトークに引き込まれ、いつの間にか情景が浮かんでくる。

「怪談を語っていると、生きている実感がするんですよ。幽霊の話をしているのに変ですけどね(笑い)」

●いながわ・じゅんじ/1947年、東京都生まれ。怪談家。桑沢デザイン研究所卒業後、工業デザイナーとして活動。1976年にラジオ番組『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)のパーソナリティを務め、番組内で披露した怪談が評判となる。1980年代はバラエティ番組で活躍したが、1993年から怪談ライブ『稲川淳二の怪談ナイト』に専念。26年目を迎えた今年は、46会場54公演の全国ツアーを開催中

■取材・文/戸田梨恵

※週刊ポスト2018年8月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
プーチンと面会で話題の安倍昭恵夫人 トー横キッズから「小池百合子」に間違われていた!
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
長嶋茂雄さんとの初対戦の思い出なども振り返る
江夏豊氏が語る長嶋茂雄さんへの思い 1975年オフに持ち上がった巨人へのトレード話に「“たられば”はないが、ミスターと同じチームで野球をやってみたかった」
週刊ポスト
元タクシー運転手の田中敏志容疑者が性的暴行などで逮捕された(右の写真はイメージです)
《泥酔女性客に睡眠薬飲ませ性的暴行か》警視庁逮捕の元タクシー運転手のドラレコに残っていた“明らかに不審な映像”、手口は「『気分が悪そうだね』と水と錠剤を飲ませた」
NEWSポストセブン
金田氏と長嶋氏
《追悼・長嶋茂雄さん》400勝投手・カネやんが明かしていた秘話「一緒に雀卓を囲んだが、あいつはルールを知らなかったんじゃないか…」「初対決は4連続三振じゃなくて5連続三振」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
NEWSポストセブン