史上初となる2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭に、春のセンバツ決勝で大阪桐蔭に敗れた智弁和歌山など、100回を迎えた夏の甲子園には強豪校がひしめいている。誰もが最初に名前を挙げる強豪校の選手ではなくても、目を向けるべき選手はまだまだいる。ノンフィクションライターの柳川悠二氏が、気になる注目選手たちを紹介する。
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史上初となる2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭、そこに迫る横浜(南神奈川)、日大三(西東京)、浦和学院(南埼玉)など都市部の私学に肉薄する第3グループの筆頭が、長崎の創成館だ。
昨秋の神宮大会で、大阪桐蔭を相手に3投手を登板させ、公式戦唯一の黒星を付けた。中でもエースの川原陸は、185センチの長身からコースを丁寧に突く制球が持ち味。緩急で打者を翻弄する。猛暑の甲子園を戦い抜く上で、ためらいなく投手を交代させる同校の戦略には大きなアドバンテージがあるが、川原がその要となる。
開幕カードを引き当てた石川代表の星稜では、2年生ながらU-18日本代表候補となった140キロ超右腕・奥川恭伸。地元の宇ノ気中で全国制覇した際にバッテリーを組んだ山瀬慎之助が、高校でも“女房役”を務める。
2年生投手では、沖縄・興南の背番号「13」の宮城大弥もいる。10年に春夏連覇を達成した先輩の島袋洋奨を彷彿とさせる力強い左腕だ(ただし、トルネード投法ではない)。U-15日本代表経験を持ち、プレートを幅広く使ってクロスファイヤー気味に白球を放る。
そして、昨年の春以来の甲子園となる報徳学園(東兵庫)の遊撃手・小園海斗である。走攻守の3拍子揃ったドラ1候補で、昨年のU-18W杯では、全試合に出場。父と元サッカー選手の母が営む整骨院でケアを受け、身体は見違えるほど大きくなった。
※週刊ポスト2018年8月17・24日号