医師や看護師に対する暴力や患者同士の喧嘩、さらには窃盗、セクハラなど、病院内ではさまざまなトラブルが発生している。現在、こうした事件に対処すべく“院内交番”を設置している病院は全国に約300ある。
ここでは実際に病院専属ポリスが出動した「セクハラ事件」の内容を報告する。昼食後の休診時間、30代の女医が「夜眠れない」といって院内交番を訪れた。
「これといった病気もないのに、毎日のように私を指名して病院にやってくる患者がいて……家まで来られたらと思うと怖くて仕方がないんです」と深刻な表情で訴える。万が一に備え、その日は“院内ポリス”が診察中に後ろで待機することになった。
男性患者が診察室を後にしたところで院内ポリスが話しかける。
「軽い症状でしたら近くの病院に行かれたほうがいい」
優しい口調だが、目には相手を制圧するような鋭い光が宿っていた。それ以降、男性患者は病院に姿を見せなくなった。
「患者にお尻を触られた」「胸を揉まれた」と、院内交番に駆け込む看護師は多い。そんな時も院内ポリスの「れっきとした犯罪行為ですよ」のひと言で、痴漢は止むという。
※週刊ポスト2018年8月10日号