《BBQコスパコーデ》《お取り寄せの名品BBQグッズ10選》《有名シェフたちが提案するBBQお手軽レシピ》──
連日の猛暑をものともせず、雑誌を開けばそんな特集が目白押しだ。
待ちに待った夏休み、ママタレたちもこぞって子供たちと屋外に繰り出した。神田うの(43才)がブログで《娘の学校のママ友にお誘い頂きママ達と子供達とBBQ》(7月6日)とハワイでの優雅な様子を綴れば、渡辺美奈代(48才)も愛犬や子供たちとともに屋外で肉を焼く写真をアップする。
芸能界も巻き込むこの夏の一大レジャーに“待った”をかけるのは、農業・食品ジャーナリストの石堂徹生さんだ。
「バーベキューが行われる場所は、食中毒を招く細菌が増殖するのに、非常に都合のいい環境が整っています。細菌は肉に含まれる動物性たんぱく質が大好物です。そのうえ、夏の日中の外気温は30~40℃くらいで湿度も高い。細菌はこのような状況で最も活発に増殖します。高温多湿の猛暑のなか、屋外での調理はリスクが高い」
室内のキッチンのように、衛生的に料理をするための環境が整っていないのも問題だ。
「屋外では野菜などの食材を洗うのもぞんざいになりがちで、そもそも洗う水がきれいかどうかわかりません。トングや菜箸をこまめに洗えないので、生の肉を掴んだものを使い回して、焼き上がりの肉を持って口に入れてしまうことも多い。炭火焼きのバーベキューコンロでは、均一に火が通りにくいので、“生焼け”で肉を食べてしまう危険性もあります。
必需品のクーラーボックスも実は危険。氷や保冷剤と一緒に入れてあるからといっても、炎天下で何度も開け閉めすれば、当然、内部の温度は徐々に上がり、やはり細菌が増えます」(石堂さん)
炎天下に長時間さらされると、私たちの体力も奪われていく。
「暑さで体力が低下すれば免疫力が落ち、ますます食中毒になりやすくなる。熱中症の危険性もあるので、細心の注意が必要です。会場には必ず健康保険証を持参し、いつでも救急車を呼べるように携帯電話を充電しておきましょう」(石堂さん)
食べ物のリスクだけではない。この7月、神戸の自宅の庭でBBQをしていた女性に、隣に住む女が掴みかかって押し倒し、けがを負わせる事件が起きた。容疑者は動機について「自宅から道路にはみ出してバーベキューをしていたことにがまんの限界がきた」と話しているという。
また、2017年は岐阜県で自宅の庭でBBQをしていた男性が、隣家の男に腹部を刃物で刺されて死亡した。男は、「近所がうるさい」といった相談を警察に複数回していたという。
過去には、男女グループでBBQをしていた男子高校生2人が川に転落し、1人が死亡する事故や、酩酊して海に入った男性が溺死する事故も起きている。
BBQをするならば、食中毒と熱中症に警戒したうえで、周囲の人に気を配り、事故に留意しなければならないということだろう。
※女性セブン2018年8月16日号