今やペットは家族の一員。大事に育てられ、犬の寿命は14.2才、猫は15.3才と長寿、高齢化が進んでいる(「2017年全国犬猫飼育実態調査結果」ペットフード協会より)。年をとるごとに体調を崩しやすくなるのは人間と同じ。猫の異変に気づいた時、どうすればいいのか? 専門家に聞いてみた。
◆おしっこが出にくい・出ない
猫の病気は尿に現れやすい。Tokyo Cat Specialists院長・山本宗伸さんはこう語る。
「トイレにいるのに尿が出ない時は膀胱炎や尿結石になっている可能性があります。丸1日以上の長時間にわたり尿が出ない時は、尿道に結石や細胞の塊などが詰まってしまう尿道閉塞になっており、命にかかわることも」
病気が慢性化した場合、食事を変えるなどの対策がとりやすいよう、排泄の状態は毎日チェックを。できればメモをつけておくのが理想的。
※考えられる主な病気:膀胱炎、尿結石、椎間板ヘルニア
◆よく咳をする
猫はめったに咳をしないからこそ、咳をしたら病気が潜んでいる場合が多い。東京猫医療センター・服部幸さんは、「猫は、口を半開きにして、“ケエ、ケエ”と音を出して咳をします。頻繁に咳をするようになったら、動画を撮影して獣医に見てもらうといいでしょう。原因はアレルギーやぜんそくであることが多いです」という。
ぜんそくだと診断されたら、毎日掃除機をかけ、換気をするなど家を清潔に保つこと。
※考えられる主な病気:細菌性気管支炎、フィラリア症、ぜんそく
◆食欲がない
環境の変化によるストレスや口内炎、歯周病などが考えられる。
「食事を丸1日食べないようなら、病気の疑いがあります。ウイルスに感染していたり、腎臓病や腸炎が悪化している場合も。猫は絶食に弱く、食べないことで脂肪肝などの病気を誘発する場合もあります」(山本さん)
猫はデリケートなので、食事療法のため食事の内容を変えると、一切食べなくなることもある。その場合は元の食事に戻し、様子を見ながら変えていこう。
※考えられる主な病気:ウイルス性呼吸器感染症、腎臓病、病気全般
◆よく水を飲む
猫が頻繁に水を飲むのは、猫に多い病気の1つ・甲状腺機能亢進症の可能性が高い。
「この病気は10才以上の老猫によくみられる病気です。全身の代謝が高まるため、飲む水の量が増えます。それだけでなく、腎臓病や糖尿病が潜んでいることもあります。目安は体重1kgあたり50ml以上の水を飲んでいるかどうか。それらの病気と診断されると食事療法で改善に導きます」(山本さん)
※考えられる主な病気:甲状腺機能亢進症、糖尿病、腎臓病