臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人やトピックスをピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、人気急上昇中の竹内涼真さんを分析。
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8月5日の日曜日、福岡県北九州市の小倉競馬場に4万196人が詰めかけた。従来の入場レコードを塗り替え、記録を大幅に更新したのは、人気俳優の竹内涼真効果だ。
昼休みの時間帯にもかかわらず、小倉競馬場のイベントステージ周辺は超満員。女性ファンが、ステージを囲むように何重にも輪を作っていたが、竹内さんを見つめるどの顔も、真夏の酷暑をまるで感じさせないほど嬉しそうだ。
竹内さんといえば、オリコンの「2017年ブレイク俳優ランキング」で1位となり、『日経エンタテインメント!』が発表している「2018年タレントパワーランキング急上昇編」でも俳優でトップとなった、今一番勢いのある俳優だ。
すらりとした長身で、爽やかさが印象的なイケメン。運動神経は抜群で歌唱力もなかなかのものというから、人気が出るのも当然だ。それでも、昨年に続き今年も人気が衰えないのは、ヒット作に恵まれたことや、その中で演じる役が魅力的だったこと、またそれにより演技の幅を広げていることにあるだろう。
そんなことは当たり前だと思うだろうが、これこそが彼の人気が続く理由の1つ、「バンドワゴン効果」である。バンドワゴンとは、パレードの先頭を行く楽隊を乗せた車のこと。日本でいえば、祭りのお神輿を思い浮かべるとわかりやすい。「ワッショイワッショイ!」という掛け声が聞こえると、みんなが集まり、神輿の後ろについて歩きだすものだ。そうした、あるモノやある事柄につい便乗する、「流行している」「ブレイクしそう」、「人気がある」と言われると、それに対する支持が前にも増して高くなる現象をバンドワゴン効果という。
竹内さんは昨年、映画『帝一の國』に出演、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』では、主人公の相手役として一気に全国区となり注目が集まった。バンドワゴン効果の始まりである。
ところが、このバンドワゴン効果は、発揮するのは比較的簡単だが、持続するのは難しいと言われている。お笑い芸人が一時、パッと人気者になるのもこのバンドワゴン効果によるものだが、いつまでも同じネタの繰り返しだと、人はあっと言う間に飽きてしまう。そこで、新しいバンドワゴンに乗り換えなければならないが、一発屋で終わってしまう芸人は、その乗り換えができないのだ。
だが、竹内さんは1つのバンドワゴンで終わらず、次々に新しい、これまでと違うタイプのバンドワゴンに乗り換え続けている。乗り換えるバンドワゴンの選び方もうまいのだ。ドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)では、主人公カホコの恋人役でその魅力を存分に発揮し、ドラマ『陸王』(TBS系)でも、挫折し苦悩や葛藤を抱えながら、再起していくマラソン選手を熱演。本物のマラソン選手に見せるための役作りが話題になったのは記憶に新しい。また、ソフトバンクのCMでは、教師役としてコミカルなキャラクターを演じた。
新しいバンドワゴンに乗り換え続けるには、人気だけでなく実力が伴わなければ難しい。次々に話題作に出演し、役によってコミカルな顔やシリアスな顔、優しい表情や硬い表情など様々なタイプの違う役を演じ分け、演技の幅を広げている。これが竹内さんの人気が持続しながら、さらにパワーアップしている所以である。
今年に入ってからは、ドラマ『ブラック・ペアン』(TBS系)でまっすぐで一生懸命な、ダサくてカッコ悪い研修医役を熱演。頼りなく打ちひしがれたり涙を見せながらも確実に成長していく役を演じ、これまでにない新しい一面も見せた。現在公開中の映画『センセイ君主』でもイケメン数学教師を演じ、また違った魅力を見せてくれていることだろう。
次はどんなバンドワゴンに乗るのか、今後も彼から目が離せない。