今から3年前にコンビニエンスストアがレジ横に専用什器を設置し、大々的に売り出したドーナツ。「ミスタードーナツ」をはじめ専門チェーンの牙城を脅かすのでは? と注目されたが、今ではすっかり影を潜めてしまった。とはいえ、専門店の業績も決して堅調とはいえない状況だ。もうドーナツは日本の消費者に飽きられてしまったのか。フードアナリストの重盛高雄氏が現場レポートする。
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ほぼ毎日のように通うコンビニエンスストア。「セブン-イレブン」や「ローソン」などブランドは異なるとしても、1日1回以上通っているという顧客は多いのではないだろうか。そのコンビニの棚に大きな変化があることに気づいているだろうか。
「ドーナツ戦争」と呼ばれた戦いがあった。3年前の2015年、ドーナツといえば「ミスタードーナツ(以下ミスド)」という時代に、コーヒー戦争でマクドナルドを凌駕したコンビニチェーンが新たなる市場拡大を狙いドーナツで仕掛けたのだ。
レジカウンター脇に場所を確保し、専用什器で様々な種類のドーナツを販売した。折しもミスドや「クリスピー・クリーム・ドーナツ」の戦いに割って入ったこともあり、一段と話題を集めた商品だ。
しかし、いつの間にかカウンター脇のスペースではドーナツを見かけなくなった。
実際にコンビニドーナツを探してみると、多くの店舗において、当時レジカウンター脇の“好立地”に確保していたドーナツケースは見当たらない。近隣でようやく見つけたのは、有楽町ITOCIAの地下1階にあるセブン-イレブン。
ケースの中にあったのは、〈口どけチョコのオールドファッション〉〈シフォンケーキ〉〈チョコマフィン〉〈沖縄黒糖のオールドファッション〉という4種のラインアップ。ホームページによると、一部店舗では全部で6種類の商品展開は継続しているようだ。
だが、個包装され、コーヒーのお供というよりは単品販売の商品。発売当初とは大きく姿が変わったという印象を受けた。
結局、ドーナツは戦略商品としての位置付けを失い、売り場における存在感をも喪失していった。今ではおやつやスイーツコーナーではなく、POPの都合上パンコーナーの一角に位置している単なる1商品に過ぎなくなった。