歯医者に何度通っても、虫歯は治るどころか再発し、挙げ句の果てには、「歯を全部抜いてしまいましょう」──密室の診療室で歯医者の言うことばかり聞いていたら、一生悔やむ事態になりかねない。100人以上の歯医者、歯科衛生士、歯科技工士に取材を重ねた岩澤倫彦氏が緊急レポートする。
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今年6月に上梓した拙著『やってはいけない歯科治療』(小学館新書)において、筆者は「銀歯」の問題点を指摘した。それに対し、歯医者から強い反発の声が多数寄せられた。
日本人の7割に入っている「銀歯」のタブーは、歯医者にとって最も隠したい不都合な真実だったからだろう。東京医科歯科大学の田上順次副学長が解説する。
「歯の形状に合っていない銀歯は、虫歯の再発原因となります。再発すると、さらに歯を削るので、神経に感染が起きやすくなる。感染した神経は“抜髄”といって、抜くしかありません。神経を抜いた歯は、確実に寿命が短くなります」
つまり、「銀歯」治療の繰り返しが、歯を失う“負の連鎖”を引き起こしていたのだ。それだけではない。「銀歯」治療では、健全な部分の歯まで削られていた──。
「虫歯部分の象牙質は、神経がダメになっているので、削っても痛くありません。治療中に痛みを感じるのは、健康な部分を削っているからです。これまでの虫歯治療では、周辺の溝など虫歯になりそうな健康な部分も削って銀歯に替えていました。
“予防拡大”という歯科治療の教則があるからです。言うなれば、転ばぬ先の杖。でも、これは大きなお世話だったと後で判明しました。歯を大きく削ってしまうと、歯の寿命が短くなるからです」(歯の保存学を専門にする、長崎大・久保至誠准教授)
加えて、虫歯が小さいと「銀歯」の型取りが難しく、「銀歯」自体も小さいと外れやすい。このような理由で、小さな虫歯でも「銀歯」を入れるために歯医者は健康な部分まで広げて削っていたのだ。
※女性セブン2018年8月23・30日号