国際情報

中国のエリート社員「動画保存で1億円恐喝」への違和感

代償は極めて高くついた

 バブルを謳歌する中国でのお金の動きは相変わらず激しい。それは些末な事件からも伺い知れる。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 時代を反映した話とみるべきなのか、それとも極めて特殊なケースといえるのだろうか──。エリートサリーマンの間で起きた一つの恐喝事件が、中国社会で大きな話題となったのは6月末のことである。

『法制ネット』に掲載された記事にはこんな見出しがつけられている。

〈同僚のパソコンの中にわいせつな動画を発見したエリートサラリーマンが、740万元(約1億2210万円)に相当するビットコインを恐喝〉

 事件の舞台となったのは福建省福州市の大手不動産会社である。清華大学で修士までとったエリートサラリーマンの庄は、昨年9月、同僚の王から業務上の必要があってパソコンを借りることになった。そして使ってみると、なんとそのパソコンの中に、わいせつな動画がたくさん保存されていることを知ったのである。

 庄は会社でも将来を嘱望される存在で、プライベートも充実していたといわれている。

 だが、同僚の弱みを知った瞬間から変わってしまったのか、同僚をそれで脅すようになり、一回、また一回と要求を高めていき、ついには総額で740万元を超えるビットコインをせしめたというから驚きである。

 事件自体は単純なものだが、突っ込みどころは満載である。そもそも、いくら発覚を恐れたとはいえ、これだけ金額を支払うことができることが不思議であるし、さらにこれほどの大金を積んで隠さなければならないほど重大な罪だったのか、ということだ。

 その意味では被害にもあまり同情できない事件である。

関連キーワード

関連記事

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン