今春、ねこ好きの間で大きな話題を呼んだ「ねこ画展」をご存じだろうか。ねこを描いた人気作家8人の作品が一堂に会した展覧会は、7月上旬に惜しまれながら終了した。その展覧会のために、本誌・女性セブン連載『トラとミケ』の作者・ねこまきさんが描き下ろしたのが、大判ビジュアルパネルの「名古屋めし」だ。
たくさんの人を魅了した作品に新たに加筆したスペシャル版を、今回お届けする。グルメ激戦区として知られる名古屋のどえりゃーうみゃー名物料理の数々を隅々までご堪能を!
「ねこ画展」の期間中、展覧会を催した東京・水道橋の「ギャラリー・アーモ」には毎週末、長い行列ができた。おかべてつろうさんやくまくら珠美さん、クラミサヨさん、柴田ケイコさんなどが描いた「ねこ画」が150点以上展示され、老若男女が思い思いに作品を見つめ、写真を撮る姿があった。
その会場に入ってまず目に飛び込んだのが、ねこまきさんの大判ビジュアルパネル「名古屋めし」だ。『トラとミケ』でもたびたび描かれる「どて煮」や「味噌串カツ」など名古屋の名物料理と、それを愛でるようにねこたちが描かれた作品は、とりわけ大きな話題を呼んだ。「ねこ画展」の人選を行ったねこ好きの聖地「猫本専門 神保町にゃんこ堂」のアネカワユウコさんはその反響ぶりをこう振り返る。
「ユルかわいい作品を目の前にして頬がゆるんでしまうというか、骨抜きになってしまうというか、ねこまきブースに足を踏み入れた瞬間、思わず声が出ちゃったような『ひゃあ~』という反応がよく見られました」
ねこまきさんといえば、来春、動物写真家・岩合光昭さんが初めて監督を務める映画『ねことじいちゃん』の原作をはじめ、数々のベストセラー作品がある。その魅力についてアネカワさんが続ける。
「ねこの特徴と同様、外見はユルかわいいが、媚びていないところ。『トラとミケ』の作品説明にもありましたが、“オチはありません”と言い切ってしまう感じ。振り幅の大きな展開がない分、読んでいて心がザワッとすることもないため、どこから読んでも心ゆくまでストーリーに浸れる安心感があります。ただただ頬をゆるめて楽しみたい、という欲求を満たしてくれるのがねこまき作品だと思います」
作者のねこまきさんはこの「名古屋めし」にどんな思いを込めたのか。
「『トラとミケ』を始めるにあたって、この作品は食べ物をおいしそうに描きたいと考えていました。名古屋の下町にある料理店『トラとミケ』を舞台に、個性あふれる常連さんたちとトラとミケの日常を描く物語ですが、今回描いた『名古屋めし』は、そんな名古屋のおいしい名物料理が詰まった作品です」
※女性セブン2018年8月23・30日号