かつては「若者の性が乱れている」などといわれていたが、最近では「恋愛嫌い」な若者が増加、青少年の性行動は不活発化しているという。この8月に日本性教育協会が2017年度版の「『青少年の性行動』第8回調査報告」を発表。1974年から6年おきに全国の学生を対象に行われた一大調査で、今回は男女の学生約1万3000人を対象に実施。その結果、「大学生のデート経験率は過去最低」、「キス経験、性交経験も低下の一途」、「女子の過半数が性に否定的なイメージを持ち、初体験率は12年で約25%低下した」などと、若者の恋愛離れの現状が浮き彫りになったのだ。
そんな若者たちに世代は何を思うのか。「私は小学3年生で初デートと初チューをしましたよ」と振り返るのは、18才年下の韓国人男性を夫に持つ作家・岩井志麻子さん(53才)。
「それ以降は告白する前に体の関係を持つことが多く、きちんとデートしたことはあまりないですけどね(苦笑)。昔は今と違って、男が女性の裸を見るハードルが高かった。通販もネットもない時代は、エロ本を買うのも一苦労。飢えた男たちが金と手間をかけて女を口説いていたんです。特にバブル時代は若くてミニスカートだったら顔なんて関係なく、どれだけ高飛車でも男が絶対におごってくれた」(岩井さん)
ところがネットの登場で女性の“売り手市場”が崩壊した。
「今やネットでエロ動画が無料で見放題。しかもスタイルがよくて若い美人がバンバン登場するようになり、女の価値は暴落した。女としては自分が安くなったなら、『じゃあ売らなくていいや』とさらに消極的になるし、男がガツガツしないから受け身の女だと恋愛の機会がない。今ほど女の子が“安く”なった時代はありません」(岩井さん)
大学の教員として若い学生と接する機会の多い精神科医の香山リカさんも「ネットの影響が大きい」と指摘する。
「男女関係に伴うDVやストーカー、性犯罪などのネガティブなニュースがネットやSNSで拡散するようになり、それを見た若者はドラマや歌で表現されるようなポジティブなイメージを恋愛に持てなくなっています。また、彼らは同性同士でもLINEグループでの行き違いを極度に恐れるうえ、生身の人間との関係に拒否感や恐怖感を抱く人が多い。男女ともにネットの動画や漫画、アニメのボーイズラブなどを用いて、自分を傷つけることなく恋愛や性欲を消化しているんです」
※女性セブン2018年8月23・30日号