クールビズの定着や団塊世代の大量定年退職などで、ビジネススーツの販売が低迷している。総務省の家計調査でも1世帯当たりの背広服への支出額は2000年に比べて半分以下に減っている。近年は低価格のオーダースーツもあちこちで売られているが、この先スーツ市場はどうなってしまうのか。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。
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洋服ブランドのインターネット通販モール「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイが、先ごろ、自社ブランド「ZOZO」で、オーダースーツを発表しました。定価3万9900円のオーダースーツです。
同社は「フルオーダー」と説明していますが、価格的に見て、フルオーダーというより、おそらくは「パターンオーダー」に近いのではないかと見ています。オーダースーツに先駆けて、ジーンズとTシャツを発表しましたが、これもウェブサイトではパターンオーダーとなっています。
メディアはZOZOのオーダースーツを大々的に報じ、そのおかげもあって業界関係者によると、受注の出足は好調と言われています。そのため当初8月納品だったのが10月に先送りされているようです。
しかし、メンズスーツにおいて、オーダースーツ、とくに低価格パターンオーダーは実は10年以上前から大手紳士服販売店を中心にあちこちの企業やブランドが仕掛けていたのです。ZOZOが目新しいことをやったのではありません。
その前に少しだけ、オーダースーツの種類をおさらいしておきましょう。フルオーダーとパターンオーダーは、同じオーダーといってもまったく作り方が異なります。
パターンオーダーとは、標準となる形が決まっており、各部位を採寸したのち、「ゲージ服」と呼ばれる標準のモデルを着用し、差異を計測して、それを修正して仕上げます。形は決まっており、そのパターン(型紙)をサイズに合わせて微修正するオーダーなのです。これは比較的低価格で作ることができ、業界平均価格ではだいたい2万~4万円くらいです。