2020年の東京オリンピック開幕まで、あと2年。具体的な競技スケジュールやチケットの入手方法等の情報も出始め、いよいよ大規模なスポーツの祭典に向けて気運が高まってきた。
オリンピックは自国のアスリートたちの熱戦もさることながら、国際都市である東京、ひいては日本ならではの文化やしきたりを改めて世界中の人たちに紹介できる絶好の機会。その意味でも、年間2800万人を超え、大会期間中もどっと押し寄せる見込みの訪日外国人旅行者に対する“おもてなし”の重要性は増している。
現在、都内の観光名所や飲食店、ホテル、公共交通機関などでは、オリンピックを前に英語を駆使した接客サービス術の強化に加え、多国語で表記したパンフレットや案内表示の整備が進んでいる。
初めて日本を訪れる外国人にとっては、日本独自のルールやマナーに戸惑うことも多いだろう。そんな疑問に丁寧に教えてあげるのも立派な「おもてなし力」といえる。
では、実際に外国人観光客は日本のどんなところに驚くのだろう。東京観光をはじめ、数多くの日帰りツアーや宿泊ツアーを提供し、年間約8万人の外国人をもてなしている、はとバスに聞いた。
話してくれたのは、ツアーガイド歴13年というベテランの坂野美奈子さん。同社に60名いる「通訳案内士」の国家資格も持ち、日々、外国人が多く参加する観光バスツアーに添乗している。
「外国人の方がまず一様にビックリされるのは、とにかく日本はキレイだということ。東京の街中ではゴミ箱もないのに道端にゴミは落ちてないですし、施設やレストランに入れば、ウォシュレット付きのトイレが必ずあって、無料でおしぼりも出てくる。
以前、歩道で無意識にゴミを捨ててしまった外国人がいて、後ろを歩いていた日本人に、『何か落としましたよ』と喋りかけられていました(笑い)」
また日本人なら見慣れた生活パターンや行動様式も、外国人から見れば“WHY”と感じているようだ。
「外国ではあまり傘をさす習慣がない国も多いので、少しでも雨が降れば傘をさし、暑い日には日傘をさす日本人は珍しい光景に見えるみたいですね。私たちとしては、傘も持たずに濡れてバスに戻ってくるほうが困るのですが(苦笑)。雨に濡れて風邪をひくというのは、外国人にとっては“都市伝説”に近いんです。
また、日本人のマスク率が高いのも不思議みたいですね。メーク隠しや花粉症予防の目的もあると説明しないと、『日本はそんなに大気汚染がひどいのか』とマジメに心配されます。
あと、これはよく言われていることですが、日本人の時間厳守のルールは守ってもらえないこともしばしば。お国柄としてゆったりした国の人もいるので仕方ないのですが、“集合時間”と“出発時間”に分け、早めのタイムリミットをお知らせするなどしています」