国内

裏社会で月額200万円以上稼ぐ「道具屋」の仕事とは

道具屋は「犯罪ネットワークのスクランブル交差点」だという

 スマホの保有率が国民の7割を超え、それにつれて近年、大きな変化を見せている裏社会。その変化を知るのに注目すべき存在が「道具屋」という裏稼業だ、と語るのは、「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中の『ハスリンボーイ』原作を担当する草下シンヤ氏だ。この“ハスリン”という言葉は「非合法商売」を指す。『裏のハローワーク』を始めとする裏社会をテーマとした著書を執筆してきた草下氏が、今の【裏社会リアル】をレポートする。

 * * *
 今年2018年上半期(1~6月)、全国の警察が把握した振り込め詐欺、オレオレ詐欺などの特殊詐欺の被害額は174億9000万円、認知件数は8197件にのぼる。そのうち、身内などを装うオレオレ詐欺は22.7%増の4560件(被害額96億3000万円)と大幅に増え、警察庁は「深刻な状況」と警戒を強めている。

 これほど世間での特殊詐欺の認知が高まっているにもかかわらず、いまだに騙されてしまう被害者がいる中、近年「道具屋」という呼ばれる存在がクローズアップされている。道具屋とは、裏社会の犯罪グループ向けに「トバシやレンタルの携帯」(トバシは使い捨て、レンタルは一定期間使用できる足のつかない携帯)や「架空口座」(犯罪用の架空名義の銀行口座)といった身元を隠すためのツールを不正調達する者のことだ。

 道具屋の中には、詐欺グループが自前で非合法ツールを用意するために作った専属の道具屋もいるが、一匹狼として裏社会で生計を立てる者もいる。そういったフリーの道具屋は元闇金業者だったり、現在も闇金業を兼業していたり、裏風俗、暴力団組織に太いパイプを持つなどしている。

 かつては、裏社会における道具屋は、それほど地位の高いポジションではなく、依頼人からの厄介な要求に翻弄される、いわば下っ端的な役割に過ぎなかった。しかし、そんな道具屋が存在感を強めている背景には「犯罪の不可視化」があるといえる。

 十数年前から流行し始めた特殊詐欺はマイナーチェンジを繰り返しながら現在も、巨大な犯罪規模を誇っている。ただし、当局も詐欺事件の厳罰化を進めており、10年前であれば執行猶予がついたような案件も、初犯で実刑が下されるようになってきている。

 詐欺というものは、そもそも「見えにくい犯罪」である。たとえば、「被害総額○○億円」という詐欺事件があり、実行犯を逮捕したとしても、物的証拠を示し、事件化できるものは限られている。被害総額10億円の詐欺事件があったとしても、実際に事件化できるのは数千万円に過ぎないということが多い。

 そしてまさにその「物的証拠をなくす」ためには、トバシやレンタルの携帯や、架空口座などのツールが必須なのだ。一昔前の“逮捕されることでハクがつく昭和の時代”とは違って、“逮捕されれば貧乏になる現在”において、いかに自分たちの姿を隠すかということは、犯罪をおかす者にとって「最重要な部分」となっているわけだ。

 たとえば、私の友人の山崎(40歳・仮名)は池袋でフリーの道具屋として活動していた。メジャーリーグで活躍中の田中投手の肌をこんがりと焼き、眼光を鋭くしたような風体の人物だ。彼に「なぜ道具屋の仕事を始めたのか」を聞いたことがある。

関連記事

トピックス

天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン