NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)は、1961年に始まって以来半世紀にわたり、その時代に輝くスターを輩出してきた。『週刊ポスト』読者300人を対象に「歴代最高の朝ドラ女優」についてアンケートを実施したところ、1位『ひよっこ』(2017年春)の有村架純、2位『あまちゃん』(2013年春)の能年玲奈(2016年、のんに改名)となった。最高視聴率62.9%という金字塔を打ち立てた『おしん』(1983年)からは、少女期の小林綾子(11位)と青春~青年期の田中裕子(22位)の2人がランクインした。
「奉公先でいじめられ、関東大震災で全てを失い、太平洋戦争で夫と子供をなくしてしまう。苦難に次ぐ苦難で涙なしには見られない。『おしん』はシナリオが強烈だったので、そのヒロインもまた一番印象に残ってしまうんです」(58・会社員)
朝ドラヒロイン誕生の裏には、ドラマ以上のドラマもあった。24位に入った大竹しのぶがヒロインを演じた『水色の時』(1975年春)では、オーディションで“事件”が起きたという。同作の脚本を担当した映画監督の石森史郎氏が明かす。
「オーディションの最終選考に残ったのは15人。そのなかに大竹もいましたが、NHK側は最初からヒロインを決めていた。僕が『この子(大竹)を起用する』っていったら、すごい圧力がかかって。NHKと大喧嘩になったんです(笑い)。
他の14人に比べて大竹だけが背が低くてガニ股で、それが松本を舞台に平凡な家族との平凡な生活を描くにはピッタリだった。彼女は当時高校2年でしたが、台本を読ませたら即座に僕のイメージ通りの芝居をこなすんです。すでに女優の才能が飛び抜けていた」