「頭のいい子ほど、子供部屋などの個室で勉強をしていません。親やきょうだいがいる“うるさい”リビングで勉強するケースが多いんです」
こう話すのは、難関中学に合格した子供の家を10年以上調査した教育学習環境研究者の四十万靖(しじま・やすし)さんだ。
「勉強には、親子が気軽に会話や視線を交わせる距離感が大切なんです。頭のいい子とは、テストの点が取れる子ではなく、コミュニケーション能力が高い子のこと。家が、その力を育む空間になっているかは、賢い人間を育てるうえで重要なことなんです」(四十万さん)
◆できる子の家は散らかっている
しかし、リビングで勉強していて、子供は気が散らないのだろうか。
「音のない環境に慣れている子は試験の時、紙をめくるなどのささいな音が気になって集中しづらいんです。むしろ、生活音がある中で勉強する癖をつけさせた方がいい。集中できている子には、雑音など聞こえていませんから」(西村さん)
音があるだけでなく、部屋も雑然としていた方がいいと、西村さんは続ける。
「頭のいい子の家はほとんど、床に読みかけの本やおもちゃが転がっていました。きれいにしようとしている形跡はあるんですが、いくら親が片付けても、子供の好奇心が勝って、すぐに散らかってしまい、結果的に雑然とするんです」
一方、隅々まで整然としていたり、高価な調度品が飾られている部屋では、子供の好奇心や向上心が育ちづらいという。
「こういった部屋にする親には、完璧主義者や理想が高すぎる人が多い。たとえ子供が一生懸命勉強しても“子供が勉強するのは当然”と決めつけているので、ほめることもなく、子供も“どうせ、やっても認めてもらえない”とあきらめてしまいがちです」(西村さん)
本棚に勉強用の本しか並んでおらず、それもピチッときれいに並んでいる、地球儀はインテリアとして扱われ、ほこりをかぶっているなど、本来学びに使うための道具が、形だけになっているケースも、子供の学ぶ意欲を養えていない証拠だ。
※女性セブン2018年9月13日号