女子体操のリオ五輪日本代表・宮川紗江選手(18)がパワハラを受けたとして告発会見を開き、“渦中の人”となった塚原光男・日本体操協会副会長(70)。五輪で5つもの金メダルを獲得したレジェンドとして知られ、長く“体操界のドン”として君臨してきた塚原氏には意外な側面がある。
「音楽が趣味で、『塚原光男とザ・ムーンサルト』というおやじバンドを結成し、都内のライブハウスや地方のイベントなどで演奏しています。塚原さんはボーカルやギターを担当し、大ファンの加山雄三のカバーなどを演奏するほか、オリジナル曲も作っています。『いつか武道館でライブをやりたい』とよく夢を語っています」(体操協会関係者)
その塚原氏の趣味が、本業と結びついた瞬間がある。2012年のロンドン五輪でJOC(日本オリンピック委員会)五輪対策プロジェクト委員長を務めていた塚原氏は、公式の応援テーマソングづくりに着手したのだ。
「塚原さんが『選手の周りの雑音を、この楽曲でできるだけ取り除きたい』と言い出し、メンタルサポートのために協会に提案したものです。当初は作詞・作曲をレコード会社に任せる予定でしたが、最終的に作詞は塚原さん自らが手がけることになりました」(同前)
タイトルは『強く美しく』。歌詞も曲調も、選手を鼓舞する力強いメッセージソングとなっている。当時の報道では、出来映えに関する塚原氏の自信が窺える。
〈「選手がみんな“いいね”と言ってくれたので」五輪での(選手へのCD)配布も決めた。JOCの会議で曲を流すなどしており、「体操の練習場では勝手に僕がかけてるから、内村航平選手も聴いてますよ」。JOCにとって初の公式テーマ曲で、今大会に限らず永久的に日本選手団の応援歌となる〉(スポーツニッポン2012年7月7日付)
JOCに確認すると、「2012年のロンドンと、その次の2016年のリオ五輪の時にはセレモニーやイベント、練習場などで流していましたが、今年の平昌五輪では公式テーマ曲を定めなかったので、使用しておりません。塚原さんは純粋に選手のために何かできないかということでJOCにご提案されたものですから、今回の件とは全く関係ありません」(JOC事務局長・細倉浩司氏)とのこと。
今回のパワハラ騒動で、東京五輪でもお蔵入りになりそうだ。