ホンダが2016年に国内での販売を打ち切っていたSUV(多目的スポーツ車)「CR-V」を復活させ、8月31日に5代目となる新型CR-Vを発売する。SUVブームが続く中、並み居るライバル車を相手に存在感を見せつけたいところだが、敢えて“普通のクルマ”にこだわったという。一体なぜなのか。ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。
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SUV市場の拡大が続いている。ホンダで国内営業を担当する日本本部長の寺谷公良・執行役員によると、「10年前の日本のSUV市場は約20万台だったが、いまは約50万台と2.5倍まで増えている」という。
当然、自動車メーカー各社は新たなSUV投入でしのぎを削っているわけだが、ホンダでも8月31日に新型「CR-V」を発売(ハイブリッドモデルは11月1日発売)する。
初代のCR-Vが登場したのは1995年のこと。前年にトヨタ自動車から「RAV4」が発売されており、この2車がSUV市場で先駆けた形(それまでに登場していたトヨタの「ランドクルーザー」や三菱自動車の「パジェロ」、スズキの「エスクード」などクロカン4駆系は除く)だが、商業的には後から出たCR-Vのほうが優勢だった。
その後、トヨタは1997年に上級SUVの「ハリアー」を投入、“ワイルド・バット・フォーマル”という当時のテレビCMのコピー通り、ラグジュアリーホテルに乗りつけてもサマになる高級感をうまく打ち出してヒットした。同じ年にはスバル(当時は富士重工業)から初代の「フォレスター」も登場している。
一方、ホンダのほうは1998年、CR-Vの弟分ともいえるスモールSUVの「HR-V」を投入。クーペライクの個性的な外観だったが、欧州市場ではかなり売れたものの日本ではヒットしなかった。
じつは筆者もかつてHR-Vを所有していたが、フルモデルチェンジを受けることなく2006年にモデル廃止となってしまった。その後、コンパクトSUVの「クロスロード」が2007年に登場したが、同車もやはり2010年にモデル廃止という短命ぶりだった。
CR-Vは、2001年に2代目が出るとグローバル販売が伸び、2006年の3代目も同様だったが、サイズアップしていったことや初代ほどのインパクトがなくなったのか、こと日本においてはCR-Vの販売はジワジワと減っていった。