犯罪の低年齢化に悩まされているのは日本だけではない。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。
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日本でも昨年、18歳と19歳を少年法の保護から外すべきとの議論が盛んに行われた。それは選挙権が18歳に引き下げられたことを受けたもので、民法の成人年齢についても同時に議論された。いま中国でも同じように少年法の保護を制限し、刑事責任の適用年齢を引き下げるべきという議論が活発になってきている。
だが、理由は日本のようなものではなく、また対象年齢も18歳、19歳ではなく、一気に12歳まで引き下げるべきというのだから、興味深い。背景にあるのは、当然のこと犯罪の低年齢化である。
犯罪の低年齢化は以前にも取り上げたことがある。それはゲームを取り上げられた子供が家に火を着けたり親に暴力をふるうというものだったが、ここで問題視しているのは暴行や強盗といった犯罪である。そうした犯罪に関わる少年が増えていて、なおかつ年齢が下がってきているという傾向が顕著なのだ。
今夏『中国青年報』が集中的にこの問題を取り上げて話題となっている。
2017年6月、北京第一中級法院(裁判所)が出版した「未成年人案件総合審判白書」によれば、同法院が2009年6月から2017年6月までの8年間で245件(一審と二審を合わせて)だった。243人に対し少年犯罪として処理し、1631件は減刑仮釈放となった。問題は、これら犯罪に関わった少年の年齢で、14歳以上16歳未満の者が全体の14.96%を占めたという。数字を見る限り、放っておけるほど小さなものではないようだ。
しかも明らかに凶悪化の傾向もあるという。湖北省のある地域の例では、全体の49.2%が重大な暴力事件であったという。こうした事情が、中国で、刑事責任の対象年齢を「12歳まで引き下げるべき」という議論につながったようだ。
記事によればすでに複数の全国人民代表大会の代表が提案に前向きだという。ちなにみ民事責任の免除年齢も現在の10歳から8歳に引き下げることが検討されているのだとか。