気象庁が「災害級」と認めた今夏の酷暑は“セミが鳴かない”“蚊が減った”など、高温多湿を好むはずの昆虫にも、影響をもたらしている。
「夏に蚊が減ったのは、35℃以上の酷暑で活動が鈍ったことと、水たまりが蒸発して産卵された卵が孵化できなかったから。しかし、秋に向けて油断は禁物です」
こう話すのは、アース製薬の渡辺優一さんだ。夏に活動が鈍ったからこそ、過ごしやすくなる秋の蚊の活発化や大量発生、しつこさは油断ならないと、害虫防除技術研究所所長の白井良和さんも指摘する。
「“ヤブ蚊”と呼ばれるヒトスジシマカはアカイエカと違って卵が乾燥に強く、10月以降は生き残った成虫が越冬卵を生むため、人の血液を求めて、積極的に刺しにくると考えられます」(白井さん)
ヒトスジシマカは東北以南、アカイエカは沖縄以外に生息し、“ヤブ蚊“と呼ばれるヒトスジシマカも、実は人が生活する都市部に繁殖域を広げる習性がある。
「血を吸うのは、交尾を終えたメスの蚊のみ。産卵のため必要なアミノ酸を摂り込もうと、人の血を吸うのです。ですから、卵を生みつける水たまりはつくらないようにするのがポイント。また、水中でかえった蚊の幼虫のボウフラは、銅イオンに触れると死滅するため、水がたまった場所に10円玉や銅製品を入れるのも有効です」(白井さん)
例年、蚊は25~30℃になる9月に活動が活発化し、10月以降に生み落とされたヒトスジシマカの卵は越冬する。
「秋のヤブ蚊は15℃を下回る前に越冬卵を生むため、この時期、必死になって人を刺しにくるのです」
秋の蚊は油断ならない。
【対策】
蚊は35℃以上だと吸血意欲がなくなり、15℃以下だと活動が鈍る。ヒトスジシマカが冬を前に死ぬまでが対策シーズンと考えて。
「今年は10月初旬までは蚊の動きが活発化する可能性が高い。まずたまり水をなくし、外出時は長袖着用と露出部への虫除け剤を忘れずに」(渡辺さん)。
※女性セブン2018年9月20日号