日夜、世界中の医療機関が「がん予防」の研究に取り組んでいる。その中で分かってきたのは、がんを発症する原因は「日々の何気ない生活習慣」に潜んでいるとする調査結果だ。国立がん研究センター・社会と健康研究センターの津金昌一郎センター長がこう話す。
「がん発症リスクを上昇させる可能性のある生活習慣については、近年、国内外で非常に多くの研究がなされており、エビデンスが積み重なってきたことで信頼性が高まりつつあります。つまり、がん予防に繋がる習慣が判明しつつあるといえます」
例えば、健康長寿にとって食事と睡眠が重要であることは知られているが、“いつ食べるか、いつ寝るか”とがん疾病の関係性について研究が進んでいる。
スペイン・バルセロナ世界保健研究所は2008年から2013年にかけて4019人を対象に食事をするタイミング、睡眠、食生活などを調査した。すると、夕食後2時間以内に就寝する男性は、それより後に寝る男性に比べて前立腺がんを発症するリスクが20%高かった(女性の場合は乳がん発症率が19%高まった)。
また、午後10時以降に夕食を摂る人は、午後9時までに夕食を摂る人より発がんリスクが33%高かったという。