「今や録音や録画の証拠がないと、学校も警察も対応してくれないと思った方がいい」と、強調するのは元警察官で現在は危機管理コンサルタントの佐々木保博さんだ。
「警察は常に人手不足なので、事件が起こる前に動いてくれることはまずありません。自分で証拠を持って行って初めて動いてくれます。いじめもしかり。学校側はいじめを認定したくないため、けがを見せても“階段で転んだのでは?”などと一蹴されがちです」(佐々木さん)
しかし、録音や録画があれば違う。証拠さえあれば、警察や学校は動かざるをえない。交通事故やあおり運転の被害、物損事故も同様で、車に取り付けたドライブレコーダーの記録がものをいう。
民事刑事を問わず、トラブルに巻き込まれた際に、問題解決のスタート地点に立つには、録音・録画が必須だと覚えておいてほしい。
◆録音・録画と盗聴・盗撮の違い
とはいえ、相手にわからないよう録音や録画を行うのは、盗聴・盗撮にならないだろうか? レイ法律事務所の弁護士・松下真由美さんは、原則的に違法にはならないと解説してくれた。
「違法になるのは、人の家に勝手に入って盗聴器を付けたり(住居侵入罪)、風呂場に隠しカメラを付けたり(迷惑防止条例違反)といった行為を行った場合です。これらは犯罪になります。
また、浮気を証明しようと不倫相手の車などにマイクやカメラなどを取り付けるのも、プライバシー侵害になる可能性が。ただ、自宅の中や、相手が自ら話した内容であれば、他人の権利を侵害しないので、盗聴や盗撮にはなりません」(松下さん)
自宅のリビングに隠しカメラを取り付け、自分が不在の時も録画をし続ける場合は、目的がDVやモラハラの事実を証明するためなら問題ないという。
「そもそも録音・録画は、加害者や周囲に秘密にしておかないと、実行するのは難しい。この行為が違法になってしまうと証拠を取る方法がほとんどなく、自分や家族の身を守れません」(松下さん)
※女性セブン2018年9月20日号