禅の発祥地といわれ、中国武術「少林拳」の拠点としても有名な河南省鄭州市の中国有数の古刹である「嵩山少林寺」で、開山以来1500年あまりを経て初めて中国の国旗が掲揚された。中国政府は7月末、中国の宗教界の全体会議を開き、各宗教の活動場所に国旗を掲揚することを決定した。少林寺での掲揚もこの決定に沿ったものだが、少林寺住職の釈永信法師は賄賂問題や女性問題などを抱えており、「保身のための習近平指導部へのすり寄り」との声も出ている。
中国の宗教界では独裁体制を固める習近平指導部に迎合して、「習近平主席は菩薩の化身」との託宣なども出ており、習氏礼賛は止まりそうもない。米政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が伝えた。
少林寺の国旗掲揚式は8月27日午前7時、釈永信法師や200人以上の僧、それに地元の共産党委員会幹部らが参加して、中国の国歌「義勇軍行進曲」の斉唱のもと行われた。
永信法師は「国があるからこそ、家庭もある。出家した者も国家の成員であり、宗教界の人々も国を愛することが当然の義務だ。国家と公民の意識を鮮明にして、社会主義の核心の価値観を培い実践していこう」などとあいさつした。
中国では仏教やキリスト教など政府公認の宗教団体は先月末開いた会議で、「宗教の活動拠点に国旗を掲揚する」提案を採択。中国仏教協会副会長を兼任する永信法師は「少林寺は率先して行動する」と表明していた。