害虫にとってはほどよい高温多湿となる夏の時期。特に室内では大繁殖し始める。そこで、代表的な害虫に関する豆知識とともに、効果的な対策法を学んでいこう。
【ゴキブリ】
一般家庭に多いのが体長30~40mmのクロゴキブリ。飲食店などに多いのが体長11~15mmと小ぶりなチャバネゴキブリだ。
2億5000万年前から存在するゴキブリは、不潔な場所を好んで徘徊し、病原菌を媒介するだけでなく、その死骸が風化することでアレルギーの源にも。アース製薬の渡辺優一さんはこう説明する。
「ゴキブリは暗くてジメジメした高温多湿で狭い所が好きで、基本的に外から家の中に入って物陰などで繁殖します。酷暑も苦にしませんが、快適な室内に侵入する数が増えていると予想されます」
クロゴキブリの寿命は6~7か月。その一生で300~400匹生む計算だけに、早めの対処と徹底的な駆除が鍵となる。
■ゴキブリの対策法
本来ゴキブリは屋外に生息するが、隙間から屋内に侵入する。巣は作らないが集団生活するため、毒エサ剤やくん煙剤が有効。
「物陰で死んでほしくない場合はフラッシングアウト効果(*)で、潜伏場所から飛び出すくん煙剤の方がよいでしょう」(渡辺さん)
*:フラッシングアウト効果:ゴキブリに微量のピレスロイドがあたると、神経興奮が発生。ゴキブリは自分の意思とは無関係に動き回り、潜伏場所から結果的に外に飛び出すことをいう。
【ダニ】
家の中にいる約8割がヒョウヒダニ類やコナダニ類などの目に見えないほど小さなダニ。人を刺すツメダニなどもいる。
ダニはクモやサソリの仲間だが、屋内塵性ダニ類と総称されるのがヒョウヒダニ類、コナダニ類など。カーペットや布団、枕などで人のフケやアカを食べるのがヒョウヒダニ、お好み焼き粉などに侵入して発生するのがコナダニだ。
「ヒョウヒダニは刺さないものの、小さいために糞や死骸がアレルギーの原因になリます。ハウスダウトにも多く含まれ、小児ぜんそくの原因にも。ダニは乾燥に弱いものの、生きたままでは、掃除機を入念にかけても吸引できません。ダニ用スプレーで死滅させてから、掃除機で吸い取って」(渡辺さん)
ダニの繁殖しやすい温度20~30℃、湿度60~80%という時期こそ、こまめな手入れが必要だ。
■ダニの対策法
ダニが好む高温多湿という気象条件は、9月以降の残暑にも当てはまる。そこにフケかアカ、汗が1gあれば、約300匹のダニが育つといわれる。
「それだけに風通しをよくして日光にしっかり当てるなどの日頃のケアと、こまめな掃除といったダニ退治が必須。50℃の布団乾燥機を30分かける方が、天日干しより効果的。掃除機をかけるのは、ダニ用スプレーで死滅させてからがよいでしょう」(渡辺さん)
【コバエ】
日本だけでも、ショウジョウバエは約260種類、チョウバエは約50種類も存在するというから、驚きだ。
コバエとは小さなハエを総称した俗称で、ショウジョウバエやチョウバエ、ノミバエなどが、その代表的な種類。
「コバエは大きなハエのように病原菌などの媒介はしませんが、見た目に不快。しかもコバエは、種類によって発生場所が違うので厄介です。例えば、ショウジョウバエは生ゴミや腐った果物を好むので台所に。チョウバエは風呂の排水口や浄化槽回りに発生します」(渡辺さん)
それぞれのコバエの特徴と発生場所を知って、対策を考えたい。
■コバエの対策法
ショウジョウバエの場合、シンクの三角コーナーなど、生ゴミをこまめに片づけることが発生の予防に。また、チョウバエを見かけた場合は、排水口や浄化槽などをチェック。
「風呂の浴槽をカバーしているエプロンを開けて、定期的に中の汚れを掃除して」(渡辺さん)
※女性セブン2018年9月20日号