メニューの価格設定は悩みどころである。経済成長著しい中国でもトラブルは尽きない。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。
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空港や駅の「メシはまずい!」、そんな不満の言葉はかつての日本でもよく聞かれた。言外には、「黙っていても客が入る立地に甘えているから」という、競争原理にさらされない店への値踏みが込められている。
同じように価格に対する満足度も概して低かった。また、そうした施設に出店できる特別な関係に甘えているといった指摘もあった。こうした事情は中国も同じである。いや、中国ではより問題が大きくなっているかもしれない。
そんなことを思わせる記事を掲載したのは『山西晩報』(8月31日付)である。タイトルは、〈山西省太原の空港内のラーメン店が牛肉麵一杯88元?〉である。
一杯88元といえば、日本円で約1425円である。まあ、競争の激しい地域であれば、よほどの特徴がなければ淘汰されることは間違いないだろう。
だが、写真を見る限り普通の牛肉麵で、具として人参ときゅうりと青菜、そしてゆで卵が半分載っているだけだ。消費者の多くは、場所代を払わされたと思うだろう。
記事でインタビューを受けた人々の反応も概ねそんなところだったが、記者に突っこまれた店主は、「ここは家賃が高い」と言い訳をする。
ちなみに空港内で9店舗を経営するという店主の言い分は「最も高い場所では年間305万元(約4900万円)の家賃。街中で同じ面積なら60~70万元(約970万円~1130万円で済むのに……」というものだった。
いずれにせよ記者はその後、飲食店の価格監視機構に通報したというから、店側も従来通りとはいかなかったはずだ。