2年後に迫った東京五輪は、猛暑が予想される夏場の開催や、大学生を含めた約11万人の無償ボランティアの募集に頼った運営方針が批判を浴びるなど、課題が山積みとなっている。そうした中で、さらなる“難題”が突きつけられてしまった。
8月1日、米・サイクリングチームのロンドン五輪銀メダリスト、ドッチィ・バウシュら9人の五輪経験者が、小池百合子・東京都知事と、大会組織委員会に対して「嘆願声明」を出したのだ。全国紙記者が解説する。
「嘆願声明の内容は『五輪選手に提供する食事に使われる、豚や鶏の見直し』を求めるものでした。主張は、檻などで拘束された環境で飼育された豚や鶏は、肉や卵の栄養価が下がり、選手のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があること。また、こうした飼育法は、EUやアメリカの複数の州などで禁止されており、動物愛護の観点からも世界的に遅れている、という主張です」
声明には、国内外の52団体が支援を表明している。そのひとつ、認定NPO法人アニマルライツセンターの代表理事・岡田千尋氏が語る。
「現在、世界中で『アニマルウェルネス(動物の福祉)革命』と言われるくらい、放牧やケージフリーなど、動物に優しい飼育法に切り替わっており、日本の環境は非常に遅れています。東京五輪をきっかけに、日本がより高い基準を目指してこそ、世界から評価されると思い、改善のお願いをしました」