ドラッグストアの店頭には数えきれないほどの健康食品やサプリメントのパッケージ。テレビCMやネット上の広告でも四六時中、健康食品の効能が謳われている。ストレスに、体の痛みに、病気に、美容に、二日酔いに、長生きに、明日の活力に──。
世の中にこれだけ健康食品やサプリが氾濫していると、やっぱり何か食べなきゃ、のまなきゃ、と思わない方がおかしいのかもしれない。
内閣府の調査(2012年)によると、実に75%の人が健康食品を利用したことがあるという。現在も利用中の人は、男性が54%だったのに対し、女性は63%と、女性の方が利用率は高かった。特に、50代以上の3割が健康食品をほぼ毎日摂取しているという。
公益社団法人「日本通信販売協会」のアンケート調査によると、男性が摂取する健康食品は「ビタミン・ミネラル」に人気が集中。一方で、女性はそれ以外に「コラーゲン」「ヒアルロン酸」「グルコサミン」など、幅広い種類の摂取率が高いことがわかった。
埼玉県在住の会社員・足立唯さん(47才・仮名)もサプリに頼りがちな1人。
「40代で管理職になってから仕事のストレスを強く感じるようになって。最初は『マルチビタミン』の錠剤。なんとなく元気になるような気がして、それからお肌のハリにいいという『コラーゲン』、疲労回復のための『黒酢』、老眼に効くという『ルテイン』を毎日摂っています。毎日のんでいると、逆に、やめるのが不安になって…」
ところがそんなある日、勤務中の足立さんは急に全身の発疹に見舞われ、病院に担ぎ込まれた。人一倍、健康に配慮していた足立さんが嵌まった落とし穴とは──。
◆品質の「第三者チェック」は行われない
すでに健康食品は日本人の生活に深く根付いているようだ。一般社団法人「日本健康食品・サプリメント情報センター」理事の宇野文博さんが話す。
「健康食品の市場規模は、2017年には、前年比1.9%増の1兆2200億円に達し、毎年拡大しています。ドラッグストアの店舗が増えたほか、ネット通販や外国人旅行者によるインバウンド消費の増加も市場拡大に貢献しているようです。青汁や乳酸菌といった従来の人気商品や、ビタミン・ミネラルといったサプリメントが定番で、そこに次々と新開発された商品が登場している状況です」
そもそも「健康食品」とは何を指すのだろうか。食品衛生法第4条では《食品は医薬品、医薬部外品以外のすべての飲食物をいう》としている。前出・宇野さんが続ける。
「『医薬品』には明確な定義がありますが、『健康食品』にはありません。おおよそ、“有効性のあるなしに関係なく健康増進に効果があるとして販売されている食品”を指します」