レシピによく登場する「ひたひた」や「かぶるくらい」などの表記。料理の仕上がりを左右する水加減の違いを理解しているだろうか? 女子栄養大学大学短期大学部の食物栄養学科准教授で調理学を専門に教鞭をとる豊満美峰子さんに教えてもらった。
水加減は材料の水分量や鍋の大きさ、何人分かなどによって異なるが、食材をちょうどよい軟らかさで仕上げ、旨みや栄養分を逃がさないためには、 適した水加減での調理が大切と覚えたい。
「煮ものの場合、レシピの水量より多めに入れてしまう人が多くいます。ですが、おいしくきれいな煮ものを作るためには、水は気持ち少なめがベスト。じゃがいもなどのでんぷんを含む食材は煮くずれしやすいので、特に少なめに。落としぶたをして、上から熱を加えればエネルギーを効率よく使えます」(豊満さん)
■ひたひた
【食材が水の半分から少し出る程度。煮くずれ防止のため入れすぎに注意】
鍋に平らに入れた食材が頭まで完全にはつからない程度を指し、「浸るくらい」とも。この状態で煮ると食材が鍋の中で踊らず、煮くずれしにくい。火をよく通すために落としぶたを併用してもよい。
■かぶるくらい
【食材全体がすっぽり浸り、水の中で食材が泳ぐ状態】
食材が水の表面から顔を出さない水加減のこと。いも類を皮付きでゆでる時や根菜類を煮る時など、長めの加熱が必要な食材向け。全体が同時に加熱されるので、ムラが少ない。
■たっぷり
【食材が水の表面に顔を出さず浸っている状態】
色をきれいに仕上げたい青菜のゆで物の場合は、湯の温度を下げないよう、この水加減が最適。また、シチューやおでんなど、長く煮こむ料理にも向いている。
イラスト/細川夏子
※女性セブン2018年9月27日号