憲政史上初となる天皇の譲位によって、皇室には前例のない数々の変化が訪れる。そのなかでも、とりわけ大きく変わると考えられるのが、天皇家の「お金」である。膨大な量の開示資料から、その一端が垣間見えてきた。
皇室には「4つの財布」がある。天皇と内廷皇族(皇后、皇太子、雅子妃、愛子内親王)のプライベートな費用の「内廷費」(3億2400万円)。それ以外の皇族に支出されるこちらもプライベート用の「皇族費」(3億6400万円)。公務を始めとした公的な活動に使われる「宮廷費」(91億7100万円)。そして、宮内庁職員の人件費や物品費などの「宮内庁費」(114億6600万円)だ。特に先の3つを合わせて「皇室費」と呼ぶ。
内廷費と皇族費は、一度支出されると「御手元金」となり、具体的な使い道は明かされない。一方、皇室費のなかで予算額が91億7100万円と、突出して規模が大きい宮廷費は公的な意味合いを帯びる。
佳子内親王が成年皇族になった2014年に2892万円で調製(皇室が所有する宝石を利用して製作)されたティアラの費用も、「儀礼に必要なため」との理由で宮廷費から支払われた。このティアラは貸与扱いで、結婚して臣籍降下すれば皇室に返却しなければならない。
今回、本誌が宮内庁から開示された資料のほとんどがこの宮廷費で、2015~2016年度のもの。その使途は幅広い。
天皇皇后、皇太子夫妻、秋篠宮夫妻の海外訪問費用を比べると、お金の使い方に違いがあることがわかる。