中国湖南省耒陽(らいよう)市で9月初旬、同市に転入してきた農民工(出稼ぎ労働者)の子弟らが公立小学校から私立学校に強制的に転校させられた。同市政府によるこの措置に怒った保護者や児童らが大規模な抗議デモを行い、警官隊と衝突し、デモ参加者46人が身柄を拘束され、警官30人以上が負傷する事件が起こった。
デモ参加者は「小学校は義務教育だ。市政府は憲法でも保証されている子供の教育の権利を無視している」などと叫んで、ビール瓶やレンガなどを警官隊に投げつけるなどしたため、混乱が拡大し、市内中心部は一時騒然とした雰囲気になったという。米政府系メディア「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
耒陽市は農業と工業が盛んだが、特に石炭の重要な産地で、近年は中堅都市として不動産開発が盛んになっており、職を求めて多数の農民工が流入。このため、人口の増加とともに、児童数も急激に増えている。
これに伴い、数校しかない公立小学校では1クラス当たりの人数が多くなり、教室数も足りないことから、市政府は5、6年生を中心に私立学校に転校させることを決定した。この対象となる児童は約1万人に達している。
中国では9月3日が小学校の新年度だが、転校を余儀なくされた児童や保護者が8月末に私立学校に行ってみると、教室や学生寮はできたばかりで、室内からは有害な化学物質のような匂いもしたという。